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えぴそーど30 『魔王が女の子ってマジなの!?(仮) -もの言わぬ革命者-』

えぴそーど30


ホイヤンの観光の目玉となる中心街は、そう広くない。

ぶらぶらと散歩していれば、昨日と同じ人と鉢合わせしたりもする。

昨日の政治家コザワが、この国の重役らしき人と立ち話をしている。

コ「そうだ!1千万ゴールド払おう!

 いやいや権利だけくれればいいんだ。開発も経営もこちらでやる」

市「いいですな!

 市長の私が承諾すれば鶴の一声で物事は一気に進みますぞ」

どうやら相手は、ホイヤン地域の市町であるようだ。

コ「港の横にムダに広い浜辺があったろう?あそこだ。

 船から降りて目の前なんて最高の立地だよ!儲かる!」

市「え?しかしあそこには、昔ながらの水上集落がありますが・・・」

コ「そんなのは立ち退かせればよい。

 コンクリートの家を建てて転居させてやればいいんだよ。誰も文句を言わんだろう」

市「しかし彼らはお金を稼がないで暮らす民・・・

 内陸の文化的な家では、毎月の電気代を払うだけでも大変になってしまう・・・」

コ「なに?家を一軒やるんだぞ?電気代くらい、自分でどうにかさせろ」

市「そ、そうですよね」

コ「問題はない。名案がある。わしは優しい政治家だ!

 リゾートホテルをたんまり建てたら、水上集落の住民を雇ってやればいいんだ」

市「なんとお優しい!

 しかし、原始的な暮らしをする彼らに、先進国民客の接客など出来るでしょうか・・・」

コ「学校も建てればよいのだよ。立派なやつを。

 そして毎日6時間授業を与えてやればよい。教養を与えてやればよいんだ。

 うーむ私はなんて優しいんだ!なんて賢いんだ!」

市「早速話を進めましょう!」


ヒ「うん?やっぱりあの政治家って善い人なのかぁ!」

カ「もう!今日も順調にコロッとだまされないでよ(汗)」

ヒ「えぇなんで?水上集落の人たちにお金あげるんだってよ?」

すると、なんとセナが、無表情にコザワの元へ駆け出していった!

とっとっとっとっとっと、ドスン!!

セナのこうげき!セナはコザワにタックルをした!

しかしコザワはダメージを受けていない!

ミ「ちょっと、コラ!」

セ「うぅ。ごめんなさい。立ちくらみ・・・」

コ「あぁ?なんだコイツは。どっかに行きなさい!」

しかしセナはまだ引かない。

よろよろと酔っ払いのようによろめくと、それとなくコザワの足を踏んづけた!

コ「痛いな!わしのピカピカのアルマネーの靴を汚すんじゃない!」

セ「ごめんなさい。立ちくらみ・・・」

コ「邪魔をするんじゃない!

 わしらは水上集落を取り壊しに行くのに忙しいのだ!」

なんと、セナはさらにコザワに突進しようとする!

ミ「ご、ごめんなさい!」ミサトは慌ててセナを抱きかかえる。

カ「ぷぷぷ。わざとやってんのよこのコ!」

カンナは吹き出し笑いをコザワに見せないように、懸命にこらえている。

大きな騒ぎにならぬよう、一行はそそくさとコザワの前から退散した。


ヒ「何なの?何が起こったの??」

カ「意味がわからなかったの?

 あの政治家の案が通っちゃったら・・・」

ヒ「キョウさんたちがお金持ちになれるんでしょ?」

カ「そうかもしれないけど、あの風情ある水上家屋が壊されちゃうのよ!!」

ヒ「えぇー!!あの海に飛び込めるお家が!?Σ( ̄□ ̄|||)」

カ「そして高度な学校が建ってしまうのよ!

 そしたら海辺の子供たちは、ヒボンの子供みたいに勉強漬けの日々になるんだわ!

 そしてお辞儀の角度が浅いだけで怒鳴られる、酷い労働生活が始まるのよ!」

ヒ「えー!!そんなの地獄じゃんΣ( ̄□ ̄|||)」

カ「そうよ!

 それが許せないからセナは突進していったのよ!

 ・・・敵意があるとバレないように( ´艸`)」

セ「リゾートかいはつ、ダメとおもう」

ミ「セナ、やっぱりあなた、あそこに住みたいの?」

セ「ううん。まもりたい」

カ「セナ・・・!!」カンナはセナを優しく抱きしめた。


ヒナタたちは、コザワを食い止める策を必死に考えた。しかし彼女たちに出来ることは何もなさそうだった。

相手が魔物なら退治すればいいが、人間だからそうもいかない。

「途上国開発支援」という彼らの名目は、99%以上の大人たちが支持してしまう。拳を握らず戦ったところで、ヒナタたちに勝ち目はないのだった・・・。

結局、ホイヤンの海岸沿いのリゾート開発は進んでしまうのだった・・・。


まぁ、別にキョウたちは違う海岸に木の家を建てて暮らすのだった。

コザワたちが建てたコンクリートの家なんてほったらかしだ。



さらにこの日もこの美しい古都で過ごした。

ヒ「Newsはいつも変わらずぅ~

 この胸 痛める事ばかり~」

ヒナタは古都の美しい街を芝居の舞台のように思ったのか、ミュージカル役者のように手を広げて歌っている。

カ「あなた次の人生は吟遊詩人の娘かしらね(´_ゝ`)」

すると町中で、魔王の侵略の話題を耳にする。

なんと、「次はロシャンデリアを狙う」という侵略予測は、ダミーだった!

そして実際に狙われたのは・・・

なんと、ヒナタたちが住んでいたヒボン列島の西の大都市、オオカサ国だった!

カ「どういうこと?なんでいきなりオオカサが壊滅されたわけ?」

ミ「メアリー合衆国から遠く離れたヒボン列島に、急に飛んだ理由はわからないけれど・・・万博開催にお熱になっているオオカサ国は、『大商業都市』というこれまでの共通点とは合致するわ」

ヒ「オオカサの人ってガメツいんでしょう?」

カ「そういう評判はよく耳にするわね」

ミ「もちろん色んな人がいるんでしょうけどね」

ヒ「給食費払わないんだよ。だから魔王怒ったのかな?」

カ「むしろ神の制裁っぽくない(汗)」

ミ「民度の低い土地が狙われる、なんて傾向もあるのかしら・・・」

ヒ「そういうこと言うとオオカサの人からクレームくるからヤメたほうがいいよΣ( ̄□ ̄|||)」

カ「大丈夫よオオカサなんて実在しない国なんだから」


ヒ「あぁぁぁ!!!

 がびーんだよ!!!!Σ( ̄□ ̄|||)」

カ「なに?もうクレームのメール来た?」

ヒ「だって魔王に会うために海を越えたのに、魔王がヒボン列島に来てくれたなんて!?

 ぼーっと待ってればよかったぁーΣ( ̄□ ̄|||)」

ミ「しょうがないわ。オオカサを狙うなんてわからなかったし、メアリー合衆国に行くには西から周るしかなかったんだもの」

カ「でも次はどこを襲うのかしら?やっぱトキョーとかヨロハマってことになるんじゃないの?」

ヒ「近いとこについでに寄るんだよ!」

ミ「人間の行動効率から考えたらそうなるけど・・・。いきなりオオカサに飛んできた魔王は、別に苦もなくまた地球の裏側に飛ぶかも?」

ヒ「じゃぁもう予測できないじゃん!」

カ「メアリー合衆国を目指す意味もなし、ヒボン列島に戻る必要もなし、か」

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