えぴそーど37
一行はさらに歩を進めた。
シンガパールに辿り着くまでの間に、また1つ小さな町を横切る。
プノペンだ。
ミ「え、ここがプノペン!?」そこがプノペンであると聞くと、ミサトは驚きをあげた。
ヒ「どうしたの?知ってるの?」
ミ「昔来たことがあるわ。プノペンって・・・もっとのどかな町だったはず。
こんなに排気ガス臭い騒がしい町になってしまったなんて」
ヒ「排気ガス臭くて、時代遅れな町に見えるけど!?」
ミ「電気自動車の普及したトキョーと比べると時代遅れ感があるけど、車の姿もほとんどなかった15年前と比べると、都会化したなぁって感じるわ」
町の様子を把握するために一行は中心地あたりまで進んできたが、その日のうちにはずれまで出ていくことになった。中心地は土地が狭すぎて、宿屋にトロデが駐車できないのだ。
都会に用があるわけではないので問題はない。再び郊外まで外れると、庭の広い宿を見つけて一行は休息をとった。
宿「旅人の宿へようこそ!1人3ゴールドだけど泊まっていくかね?」気のいいお母さんが受付で笑っている。
ヒ「えぇ!たった3ゴールドでいいの!?
こんなに庭が広くてお部屋も広いのに??」
宿「はっはっは、そのぶん建物が古いだろう?
エアコンだってなくて、扇風機しかないんだよ」
ヒ「扇風機しかないのかぁ」
ミ「朝晩はヒボンほど暑苦しくないから、扇風機でも充分だと思うけど。
田舎の宿は風が通るしね^^」
カ「さっき中心地まで行ったら、庭もない狭苦しい宿が20ゴールドもしたわ。
どうして同じ町なのに、こんなに値段が違うの?」
宿「だから、うちはもう古い宿なんだよ!
それに、土地代の問題だろうね」
ヒ「土地代??」
宿「うちは先祖がここに持ってた土地や建物で、持て余してるから宿をやったのさ。
土地も建物もわざわざ買ってないから、安く泊めてやれるんだよ」
カ「そうか。都会の宿は、宿をやるために土地や建物を買うんだわ。
そりゃ高い金額をとらないと儲けにならないわよね」
宿「そう。そういうカラクリがあんのさ。
宿なんてのはもともと、うちみたいに大きな家を持ってた人が営んでたんだよ。だから安いもんだったんだがね。
今となっちゃわざわざ都会に土地買って、わざわざ経営するのさ。そりゃ値段も高くなるわいな」
カ「トロデがいなかったら、そんな違いがあることに気づいてなかったかも」
ヒ「都会の便利なとこに泊まってたかもね」
広い庭には、ボロいが幼児向けの遊具もある。そして大きな木には手作りのブランコがしつらえられている。
ヒナタとセナは手作りのブランコを取り合ってハシャいだ。
宿「はっはっは。そんなボロい遊具が好きなのかい。
この町には公園がたくさんあるよ。遊びに行ったらいい」
一行は旅の使命を忘れて、その日翌日としばし、公園めぐりをくつろいだ。