えぴそーど49
ぺたぺたぺた。ぬりぬりぬり。
カ「ちょっとぉ、臭いんですけど!」
ヒ「だってメンザイちゃんひっかいたら、ネイルかすれちゃったんだもん」
ミ「こんなに揺れる象の上でも塗れるの?」
ヒ「うーむ。
可愛くなりたいのに、どうして臭くならなければならないのだろう(´_ゝ`)
臭いのは可愛くないぜ!」
ミ「そんなに器用ってことは、ひょっとして絵を描くのも上手かったりするんじゃない?」
ヒ「紙に描くのは飽きちゃったから、体をキャンバスにすることにしたのだ(⁎˃ᴗ˂⁎)⋈。」
カ「たしかに紙より難易度高いのかもしれないわ」
象の背の上から周囲を見渡している。
ヒ「緑あふれる山~ 深い海もぉ~
友達も未来もすべて~ つながってるからぁぁ~♪」
カ「だからその緑あふれる大地をネイル臭くしないでほしいのよ(´_ゝ`)」
ミ「うふふ。今日も元気ね( ˊᵕˋ* )」
セ「つながってるからぁぁ~♪」
ヒ「なんかさぁ、武闘家みたいな人ばっかり見かけるようになったね?」
カ「え?武闘家??」
ミ「あぁ、僧の衣を、ヒナは武闘家みたいと感じるのでしょうね」
ヒ「お坊さんなのあれ!?僧ってお坊さんのことでしょ??」
ミ「東南マジマの山奥には、隠居するお坊さんが多いのよ」
ヒ「隠居って?」
ミ「『僧院』っていう、修道院みたいな場所が幾つもあるの。
そこではお金を使わず、お金を稼がず、神の教えを学びながら慎ましく暮らすのよ」
ヒ「お金払わなくても暮らせるの?」
ミ「えぇ。その代わりお金をもらわずに畑仕事したり、料理したりするのよ」
ヒ「へー!」
カ「自給自足ね。そこまでは俗を捨てられないのよね私は」
ミ「そういう人たちが、ああいうオレンジっぽい茶色っぽい衣を着てるのよ。
私が昔《ベホイミ》の魔法を授かったのも、そういう人たちの一派だったわ」
ヒ「なんかちょっと『悟り』みたいなハナシ!?」
ミ「あぁほら!
向こうに見える、ああいう大きなお寺みたいなとこに住んでるのよ僧たちは」
ヒ「行ってみたい!」
カ「たしか泊めてくれたりするところもあるのよね」
一行は前方に見える僧院を尋ねてみることにした。
お寺の前でトロデから降りる。
ヒ「なぁーんか、とっても静かだよ?」
ミ「こういうところではちゃんと空気読んでね?」
ヒ「が、がんばりますぅ(;・∀・)」
そろーりと、お寺のお堂を覗いてみる。
すると・・・
ヒ「だるまさんがころんだやってるーΣ(゚□゚︎`)」
カ「しずかに!」
なんとお堂の中では、僧衣を着た数十人もの男たちが、それぞれにてんでバラバラなポーズで、微動だにせず突っ立っていた!
ミ「ヨガよ。知らないことないでしょ?」
ヒ「えぇ?ヨガってみんなで猫のポーズしたり三角のポーズしたりするんだよ」
ミ「商業的なワークショップではそんなふうにやってるけどね。
本場のヨガは、こんなふうにそれぞれ自分のペースで、バラバラにポーズするのよ」
ヒ「何してるの?これで悟れるの??」
ミ「精神統一と運動、かな」
僧「何者かな」
騒がしさを見かねて、一人の僧が様子を見に来た。
ミ「ごめんなさい。旅の者です」
僧「はっはっは。良いのだよ。
これもまた、気を散らさない訓練になる」
僧は怒っていないようだった。
カ「そういえば、誰一人わたしたちに気をとられてないわ」
僧「地震が来たって、ヨガをやめないのだよ」
ヒ「すごぉ!
魔王に侵略されたら?」
僧「それでも、やめないだろう。ヨガの時間なのであれば」
ヒ「死んじゃうよ!?」
僧「それで死ぬなら、それも本望」
ヒ「悟ってるぅぅぅぅぅーΣ( ̄□ ̄|||)」
僧「そう。悟りとはそういうことだ。とても簡単だ」
カ「簡潔ではあるけど、簡単ではないのだわ・・・!」
ミ「そもそもこんな殺風景なところに来ようと思うまでが、長いからね(笑)」
ヒ「すごいけど、やっぱアタシには退屈だなぁ」
僧「もうちょっと面白みのある修行をする僧もいるよ」
ヒ「えぇ?」
僧「体を鍛える一派もある」