エピソード115
一行が老婆と話し込んでいると、いつの間にやら里の少女たちが一行の前に行儀よく整列しているのだった。
な「え、なに!?」
すると
少「旅人さん、こんにちは。
これから歓迎の舞いを踊ります♪」背の高い少女が笑顔でお辞儀をした。
そして20人ばかしのカラフルな民族衣装を着た少女たちが、伝統舞踊を披露してくれるのだった。
笛を吹く者もいる。太鼓を叩く者もいる。
遠い国の原住民族がこのようなことをするのを、ななやゆなはなんとなくテレビで見たことがあった。しかし、まさか目の前でその実物を堪能できる日が来るとは・・・!?
躍りが終わると、少女たちは一行を引っ張った。
少「さぁ、おいでくださいませ!
ささやかながらお食事の準備が出来ています!」
少「出来ております、でしょう!」
少「あ、ごめんなさい!テヘ」
そうして彼女たちは敬語や社交マナーを勉強しているようであった。
一行は大きな屋敷に通された。
アミンの村のそれに近い、高床式の木造家屋である。
様々な家具を木や竹や蔓から手作りするようであった。
大きなテーブルにはフルーツや簡素な料理が並んでいた。
少女たちは「どうぞ!」と言って一行のために甲斐甲斐しく、2人3人がかりでイスを引いてくれる。
長「おかけになってください」
里の長とおぼしき女性が、一行にくつろぎを促した。
ゆ「あ、どうも」
長「あいさつはもう済んだでしょう。こんにちはばかり繰り返していては人生がもったいない。
私は里の長、ミカエルといいます」
な「天使の村にご招待してくれてありがとうございます!」
長「適度に外界の人々と交流することは、民たちの勉強になります。
冒険者を招き入れることは、ほとんどないですけれども。よほど敵意のない者だけです」
ゆ「他言はしないつもりです」
一行はゆるりと歓談を楽しんだ。テーブルには踊りを披露した少女たちも何名か席に着いた。
ななたちの冒険の話を聞きたがり、そして何を聞いても楽しそうに喜んだ。