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エピソード139『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』

エピソード139


宿屋も存在するようだ。

宿「まぁ宿屋というか、部外者も里の民も眠れる場所だがね」

とにかく一行に寝床を提供してくれる場所ではあった。

アミンがドワーフであることがわかると、彼らは喜んだ。

このパーティが他の来訪者たちとは大きく違うことを、彼らはすぐにわかってくれた。

そしてそれぞれが、愚痴や不満を漏らすのだった。

「昔は良かった」と彼らは口にするが、その割に外見が若く見える。

キキみたいに若返りの術を使っているのだろうか?

宿「あはは、それも世界樹の効果だよ。

 世界樹は樹の幹だって強い癒しのチカラを持つ。

 この材木で造る家や家具は、体の回復を速めるんだ。だから我らは若々しい体を保ちやすいらしい」

ア「へぇ!武器や防具にも応用すればいいのに?

 あ、それが悲しい結末を生んじまったのか・・・」

宿「戦闘用具も多少は作るがね。

 木工製品というのは防具には向かないんだよな。革や鉄は良いのだろうが、木はあまり適さない。

 面白いものだよ。

 戦おうとする者たちは、木の加護から離れていくんだ。

 あぁ、エルフの国に贈ったものもあったぞ?

 ナントカのフルートってヤツだ。

キ「えぇ?もしかして、コレ?」キキは《春風のフルート》を取り出して見せた。

宿「そうそうそれだよ!

 そのフルートが強い魔力を持つのは、世界樹を材料に作られているからさ」

一行は世界樹の家屋に抱かれて、休息をとることにした。


翌朝。

宿「ところであんたら、何のためにここに来たんだ?」

ア「え?わからないよ。

 『世界樹を目指せ』って言われたんだ。変な爺さんに」

宿「変な爺さん?」

キ「アララト山の洞窟の、山のロゴスによ。

 アミン?ここの民に言葉を濁す必要性はないと思うわ」

宿「でもここに来ても何もないぜ?

 今となっちゃ、とっておきの回復薬すらない」

ア「えぇー!!来た甲斐がないとは言わないけど・・・」

宿「村の長に会っていったらいい。奥の屋敷にいるよ」

ゆ「何かありがたいお話が聞けるかもしれないわ!」



一行は里を奥まで進んだ。世界樹の根元の根元に、少し大きな家がある。

ア「ここかな?」

中を覗くと、長い長い、白いヒゲをたくわえシルヴァヌスの老人が待ち受けていた。

長「ほっほっほ。遥々ご苦労じゃったなぁ」

来訪を察してくれていた感がある。なのでアミンは挨拶を省いた。

ア「村長さん!

 僕ら、ここに何しに来たんですか?」

長「なんとまぁ、奇妙な質問じゃ!

 おぬしのことはおぬしが教えてくれ!

 ・・・いやいや、言わんとすることはわかる」

ア「世界樹を目指せって言われて、ここまで来たんです」

長「世界樹を、目指すんじゃよ」

ア「そう。だからここまで来たんだ」

長「いいや。世界樹を、目指すんじゃ。

 おぬしらは、必ずしも、ここまで来る必要はなかった」

4人「えぇー!!??」

な「ぼ、呆けちゃってるのかな(汗)」


長「『世界樹を目指せ』というのは、

  『世界樹に行け』という意味では、ない」

ア「すると・・・?」


長「『世界樹のようになれ』という意味じゃ!」


な「わたし、まったく意味がわからない・・・(汗)」

ゆ「大丈夫よ。私もまったく意味がわからない(汗)」


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