エピソード142
一行は屋敷から飛び出した。
ゆ「なに!?」
長「悪い者が、うごめき出したか・・・!」
キ「はぁあ。もう結局バレちゃってんのよねぇわたしたち(汗)
アミン!アンタが時々強いからいけないのよ!」
ア「えぇ!僕のせい!?」
な「褒めてるの?責めてるの??」
キ「まぁ両方♡」
ア「とにかく爆発音のところに行かなくちゃいけないんじゃないか!?」
ゆ「樹のてっぺんよ!?」
長「行ける。
道はまだ伸びているぞよ」
長「こちらへまいれよ」
長老はひょこひょこと歩くと、世界樹の裏側へと一行を案内した。
背の高い幹は胴体も太い。もはや太いという形容ではなく、「広い」という感じだ。現代社会で言えば、世界一の高さを競いあっているビルのようなものである。
なんと幹の裏側には、扉があった!
ア「まさか、中は空洞なの!?」
長「空洞というほど空洞でもないがな。
中をくりぬいて空間がある」
ゆ「そんなこと可能なの!?」
長「可能じゃよ。幹は太いからな。ある程度空間を作っても樹は体を支えられる。
シルヴァヌスは愚かではない。樹の耐久力を考えながら、そして樹に意向を伺いながら、徐々にくりぬいてきた。
トントン。
ギィィィィィ
大きな扉を開けると・・・
民「長老!」
なんと、中には大勢の人がいた!
シルヴァヌスらしき人々が、女性や子供も含めて大勢いる。
な「妖精さんってホントに木のお家に住んでたんだー!!」
民「長老!何があったのですか!爆発音が!」
長「これこれ、慌てるでない。
今その究明に、勇者様たちが向かってくれる」
な「ゆ、勇者様じゃないですぅ(照)」
長「間違えた。大道芸人様じゃ!」
4人「それはイヤだーーーー(汗)」
長「とにかくな。この者たちはシルヴァヌスを傷つけない。
世界樹を上っていくことを尊重し、協力してやってほしい」
民「は、はい、わかりました」
ア「こう言われちゃったら、あの爆発のところにすごいボスとかいたら絶対逃げられないね(汗)」
キ「大丈夫よ♪これまでだってボスに遭ったって逃げなかったわ♪」
世界樹の中は本当に広い。まさしくビルのフロアのようだ。馬車すら通れる。
居住空間は階層構造になっていて、上階に行くための道は階段ではなくスロープである。やはり馬車が通れる。なにしろ彼らも階の上下を、物を運んだりしながら暮らしている。世界樹を木材にして造った立派な家具などを。
何も知らなければ迷ってしまいそうだ。いつか遥か未来、仮に住民たちが朽ち果てた後に訪れるなら、これは巨大な迷宮に感じられただろう。
長「わざとやや複雑な間取りに作っておる。
仮に悪しき者に侵入されたとしても、すぐにてっぺんに上られないようにな。
では、わしはもう帰って寝るぞ」
ア「ありがとう!」
長「達者でな♪」
長老は顔をクシャクシャにして、とても嬉しそうに微笑んだ。
アミンは長老にとって、同族ではない。しかし、まるで親戚の子供の、一流企業への入社式を祝福するような気分なのだ。