エピソード15
3人は青ざめた。まさか本当に逃げ出したのか?借金だけこさえて、なならをハメたのか?
恐る恐るフロントに行くと、店主は素っ気なく答えた。
店「あぁ、アンタらのドワーフなら瞑想に行くと言ってでかけたよ。そこらにいるだろう」
な・ゆ・ハ「瞑想!?」
3人の頭の中はハテナだらけである。
3人は宿を出て、里の中を探した。
ハ「アミン!どこだー!」
ゆ「シーっ!叫ばないで!里に迷惑をかけないようにしなきゃ」
ハヤトの大声に多くの村人が振り向き、そしてやはり怪訝な顔をするのだった。
キョロキョロと探していると、里のはずれでじっとしゃがみこむアミンの姿を見つけた。3人は駆け寄る。
ハ「なんだよオマエ。落ち込んで泣いてんのか!」
ア「あぁ、おはよう。違うよ。瞑想してたんだ」
な「めいそう?」
ア「そうだよ。瞑想。目を閉じて心を鎮めるんだ。人間もやるだろ?」
な「やらないけど(汗)」
ゆ「やる人も、いるわね。ドワーフも瞑想をするの?」
ア「これからはちょっと僕も必要になりそうだよ」
ハ「悪いことばかりしてるから反省の時間が必要なんだな」
ア「違うよ。魔力を高める必要があるだろ」
な「魔力を?」
ア「そうだよ。瞑想をすると魔力が高まるんだ。
これからはいっぱい《メラ》を撃たなきゃならないだろ?これまでは1日に3発も撃てば充分だったけど、戦いながら旅をするなら、そうはいかないよ」
ゆ「私たちを、守るために・・・」
ハ「はっはっは!頼んだぞアミン!」
ア「そのつもりだけど、おまえたちも戦わないとね。それも何か考えなきゃな」
ゆ「瞑想をすると、魔力が上がるの?」
ア「そうだよ。
剣の威力は、剣を振るうごとに上がる。つまり戦うことでチカラも付くよね。
でも魔法はそうじゃない。魔法を撃っても魔力を消耗するだけ。
マジックパワーを増やしてたくさん撃てるようにするには、瞑想をして魔力を上げる必要があるんだ」
な「ふぅーん」
ア「さぁ、里を出て魔物を倒そう!」
アミンは3人を引き連れて、さらに森の奥へと歩いた。
ハ「どこまで行くんだ?村から離れて大丈夫なのか?」
ア「里から離れたほうが魔物には遭遇しやすい。今は魔物に遭うことが目的だろ?」
しばらく歩き、もうノビスの里はその気配を完全に失った。
な「だ、大丈夫かなぁ・・・」ななは不安になってきた。
ななとゆなは二人で体をすり合わせている。
すると待ち人は現れた!
ガサガサ!!

な「ひゃぁ!なんだこりゃ!」
くびながイタチがあらわれた!
首のやたらに長い、イタチのような魔物だ。
アミンはひるむことなく飛び掛かった!「《メラ》!」
しかし、くびながイタチは倒しきれない!
ア「誰か、トドメを!」アミンは叫んだが、3人は身動きがとれない!
くびながいたちはお尻から妙なガスを吐き出した!
な「うわ、くっさぁ~!」精神的に大きなダメージを受けている!
ア「ハヤト!!」アミンはしびれを切らしハヤトを名指しした!
ハ「わかってるよぉ!」ハヤトは意を決して、《はやぶさの剣(偽)》をヤリ状にかまえてくびながイタチに突進した!
ブシュっ!
ピキーン!くびながイタチをやっつけた!
な「やったぁ!」
ハ「ど、どうだ!」
ゆ「ちゃんとアミンに言われたこと学習してたじゃない」
ア「あはは。早速だけど、もう僕一人じゃ背負いきれないみたい(汗)
みんなも戦う覚悟持ってね」
な・ゆ・ハ「は、はい(泣)」
ゆ「ハヤト。あなたのサバイバルナイフ私に貸して?」
ハ「え!?」
ゆ「アンタはその立派な剣で戦いたいでしょ。
せっかくのナイフを眠らせておくのもったいないわ」
ハ「だが、これは至近距離戦しか出来ないぜ?」
ゆ「だから最期のトドメだけ、私が請け負うわ(汗)」
な「わ、わたしは・・・??」とななはかよわい笑顔ではにかんだ。
ゆ・は・ア「・・・・・・。戦えそうにないね(汗)」
ゆなはななの肩をバンと叩いた。
ゆ「アンタは、応援してなさい!それと《やくそう》を持っておきなさいよ」
ゆなはななを《やくそう》係に任命した。
4人はこのフォーメーションで、どうにか森の魔物を倒していった。
やがて森は、少し開けた場所に出た。
ゆ「人が作った場所みたいに見えるわ」
ハ「儀式場とかなのか?」
な「ボスが待ち構えてたりして・・・」
ハ「まさかそんな!」とハヤトが期待を込めておどけたそのとき!
前方で何かが鈍く光った!
ハ「まさか!さまようよろい!?」
鋼鉄の鎧騎士の後ろ姿が見える!
ハ「やばいぞ!初心者パーティーで勝てるはずがねぇ!!」
な・ゆ「ひゃぁああああ!!!」