エピソード34
兵「はぁ・・・」兵士は1つ、溜息をついた
兵「そなたらは、これからも遥か旅を続けるつもりか?」
な・ゆ「は、はい」
兵「では覚えておいたほうがいい。
仲間とは、ずっと一緒に居られるとはかぎらない。すべての冒険者の宿命だ。
出会いと別れを繰り返しながら、人は生き、旅をする。
旅をする中で、目的が見えてくる。変わってくる。自分が見えてくる。友が見えてくる。
そうなったとき、進む道が違うなら、一緒には進めない。
そういうものなのだ」
ハ「チクショウ!」ハヤトは拳で空を殴り、地団駄を踏んだ。
兵「では少年に聞く。
おまえはこの先、本当に大いなる悪を倒したいのか?
自分の体を犠牲にしてまで、命を犠牲にしてまで、世界の役に立ちたいのか?」
ハ「そ、それは・・・」
兵「・・・・・・」
ハ「こ、こんなところで、一人で放り出されるのか・・・」
な「そ、それは幾らなんでもかわいそうだよ!」
兵「問題はない。トルッカまでは護衛を付けよう。これは最大限の恩情だ」
ゆ「それなら・・・」
ハ「こいつらがオレを裏切るかもしれないぞ!」ハヤトはいつまでも足掻き、周りを困らせた。
ア「はぁ。・・・・・・」アミンはうつむきながら、大きく息を吐き出し、決心したように言った。
ア「よし、わかった。
おまえにこの《錆びついた剣》をやるよ。ノビスを守り続けた立派な英雄の剣だ」
ハ「ほんとか!?」
ア「あぁ。この剣ならおまえ一人でもくびながイタチくらいは倒せるよ。
野垂れ死ぬことはないはずだ。
トルッカまで行きゃ人がたくさんいる。彼らと暮らすのもいい、一緒に冒険に出るのもいい。エンドールに帰るのもいい」
兵「武器を譲って、そなたはどうするのだ?」
ア「まぁなんとかなるさ。魔法もあるし」
ハ「わ・・・かった・・・」
ハヤトはようやく、自分の宿命を受け入れるのだった。
ハヤト以外の面々は、庭園の敷地に通された。
ななは複雑な心境でおののいている。
兵「後ろを振り向かぬよう」兵士はななに、ほんの短い忠告をした。ななは無力ながら、自分に出来る努力を精一杯にした。
リ「わたしはここで、皆さんをお待ちしていますね!」
リラは門で一行を待機だ。
一行は顔を上げた。門をくぐった先は広大で色鮮やかなお花畑であり、その真ん中に大きな湖が広がっている。
しかし、湖には大きな霧がかかってその向こうが見えない・・・。
な「お城はどこかな?」
兵「この先だ」
一行「え!?」
兵「この湖の湖上にある」そう言いながら、岸辺の小舟を指さした。
ゆ「これに乗って、お城へ行くの?」
兵「その通りだ」
な「霧がかかって、見えないよ?」
兵「一度だけ言う。聞き逃さないように」
一行「は、はい!」
兵「城は、まっすぐこの先にある」