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エピソード38『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』

エピソード38


エ「キキちゃん様ぁ~本当に行かれてしまうのですかぁ?」

エ「キキちゃん様ぁ~寂しいですぅ悲しいですぅ~」

エ「キキちゃん様ぁ~私のこと忘れないでくださぁい」

頭に猫耳のカチューシャを付けた若いエルフたちは、ウルウルと瞳を濡らしている。

キキの旅立ちをためらう者たちには、様々感情の種類があるようだった。

しかしキキはその誰をも、明るい笑顔でなだめるのだった。

キ「大丈夫。わたしがいなくても協力してしっかりやるのよ♪」



城の外に出ると、相変わらず外は深い霧で真っ白だ。

しかしキキがすっと手を挙げると、霧はするすると薄れはじめた。

キ「これくらいでいいかな」

ゆ「ホントにキキちゃんが霧を操ってたんだ・・・!」


門番たちも女王の訪れに驚き、開いた口がふさがらないようだった・・・。

門「じょ、女王様。どちらへおでかけで・・・?」

キ「もう。そんなこと訊いたってわたしが冗談でしか返さないこと、わかってるでしょ♡」キキはイタズラっぽくウインクした。

キキは一行を小舟に乗せ、自分も最後に乗り込んだ。

そしてオールを握って、ゆっくりと漕ぎ始めた。

ゆ「いけませんキキちゃん!私たちが漕ぎますから!」

キ「あははは!そんなにへり下らなくていいのよ♪

 女王だから民に小舟を漕がせるなんて、そんな理屈ないわ。

 ていうか、あなたたちにオールを任せたら、1年経っても向こう岸に辿り着けそうもないじゃない(笑)」

な「3日もあればどうにかするよキキちゃん!!」

キ「きゃはははは!」

な「ていうかキキちゃん大魔女っ子なのに、魔法で舟動かさないの?」

キ「えぇ?だってなんでも魔法で横着したら、人生つまらないじゃない♡

 小舟だってレジャーの1つだし、スポーツの1つよ♪

 お料理だって、引越しだってそう。魔法で横着したってしょうがないことだわ」

な「ふうん」

ゆ「へぇ・・・!」



庭園を出ると、キキは思いきり深呼吸をした。

キ「うーん♪久しぶりに羽を伸ばせるわぁ♡」緊張など1ミリも感じていないようだ・・・

平原をしばらく歩くと、地形は砂漠に変わる。すると、魔物の襲来を受けることになる!

キメラの群れがあらわれた!

するとだ!

キ「きゃいーん!こわぁぁぁい助けてぇお姉ちゃぁぁん♡」

目をウルウルさせながら、キキは悲壮な表情を浮かべた!

ゆ「な、なにこれ(汗)」

一行は、超絶的に強いキキに魔物を蹴散らしてもらえるのかと思っていたが、キキは3人の背後に隠れて無力な少女を演じるのだった・・・。

キ「うふふ。戦闘はよろしくね♪

 わたしがこんな姿で強かったら、みんな怪しんじゃうでしょ♡」

ア「皆に強くなってもらいたいなら、素直にそう言ってほしいんだけど・・・(汗)」

しかしそう呑気に構えていられるわけではなかった。一行はハヤトの戦力を失い、そしてアミンは武器を失ったのだ。

3人は焦ったが、キキはちゃんと考えていた。3人が攻撃してそれで倒しきれない魔物を、後方からこっそりと、《メラ》だの《バギ》だの撃って仕留めるのだった。

な「これ、キキちゃんが倒してくれたほうがはやくない?」とななは苦笑いしたが、

キ「皆は実践経験を積んだほうがいいわ」とキキは笑って言うのだった。

ゆ「魔法は撃っても撃っても威力は上がらないのでしょう?」とゆなは反論してみたが、

キ「体験的に戦略を覚えていくことで、やはり強くはなるのよ」と即座に正論で返すのだった。

総合的に言えば、冒険はだいぶ楽になり、そして・・・だいぶ楽しくなった!!


砂漠を抜けて安全な平原に至ると、キキはゆなに《春風のフルート》を手渡した。

キ「譜面これだから、空いた時間にテキトーに練習してみて♪難しくないでしょ?」

ゆ「良かったぁ!音符の仕組みは私たちの国のとおんなじだわ」

ゆなは昔のカンに頼ってそのフルートを手なずけた。


ポワンの里に寄る。メンバーが一人入れ替わっているのを見て、ポワンは驚いた。

ポ「ふふふ。あなたもまだ子供ね」キキを見て笑っている。

キ「そう。私はずーっと子供でいたいの♪」

ななは「妖精ってノンキだな」と思った。

ゆなは「この人たちは深いな」と、なんとなく思った。


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