エピソード48
一行はベロニカを加えて、ブランカの城から旅立った。
ベロニカの外出について門番たちには、「珍しい絵の具の材料を採るために、2~3日遠出してくる」と言い訳した。
そんな理由であるからに、ベロニカは立派な服も、立派な画材道具も、すべてを小屋に置いてきた。着の身着のままで旅立ったのだった。
東の国を目指して馬車は走る。
依頼は「護衛」であったはずだが、一行はベロニカを過保護扱いはしないことにした。
ときには御者もやらせるし、魔物が出れば共に戦う。野営の際はともに火を熾し、テントを張る。
ベロニカは改めて、「奇妙なパーティーだな」と思った。一体、子供の遊びのようにも見えるし、そうかと思えば偉そうなことを言ってくる。
キキは、自分の身分を打ち明けることにした。何日も一緒に過ごすとなると、隠し通すことは出来ないだろう。ややこしい話になる前に、自分から打ち明けたほうがいい。
ある夜。焚き火を囲んで話していた。
ア「そういえばさぁ、ブランカの女王様の困りごとって何だったのかな?ベロニカ知ってる?」
ベ「あぁ。アックスドラゴンって魔物が時々この国を襲ってくるんだ」
な「それって、オノを持った緑のドラゴン??」
ベ「そうだ。そういうヤツだと思う」
ゆ「じゃぁ謁見の前に用事は済んでいたのね(笑)」
べ「え?それはどういう意味だ?
まさか君たちがアックスドラゴンを退治したのか!?」
な「へっへーん♪」
ゆ「あんたは寝てただけでしょ!」
きゃははははは!
キキはこの道中ふと思いつき、ななやアミンに提案をした。
キ「ねぇアミン?ななにもう1つ、コテを作ってあげたらどう?右手用にね♪」
アミンは提案のとおり、ななにもう1つのコテを打った。
装備したななは「うぅ、重たい(汗)」と駄々をこねたが、「戦力強化のためにがんばりなさい♪」とキキになだめられ、やむなく受け入れるのだった。
そしてキキは、魔物の出ない平和な道中においても、ななに2つの重たいコテを装備したまま過ごさせた。そして「一緒に踊りましょ♪」と誘いかけ、コテを振り回しながら全身運動をさせた。ななの筋力アップを謀ったのだが、その真相はななには言わなかった。ななはただ、キキと楽しく踊っていた。
ベロニカは何日経っても、このパーティーが何なのか掴めなかった。
やがておだやかな平原は抜け、地形は森がちになった。すると魔物の襲来も増えるのだった。凶暴な魔物にお目にかかることもある。
ベ「ひぃぃ!」実践経験の乏しいベロニカはひるんだ。
キ「落ち着いて!魔物をよく見て。
《メラ》が効きそうか、《ヒャド》が効きそうか、ぱっと見でも大体わかるはず。
相手の弱点を上手く突けば、手強い敵でも善戦できるものよ♪」
ひるむのはベロニカだけではなかった。これまでよりも手強い魔物に、ななやゆなやアミンも手を焼くのだった。