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エピソード4 『自由の空へ』

エピソード4

私、ひねくれ者なのかな?素直な良い子なのかな?


そんな、相反する矛盾した自分を見つけて、

私はようやく、1つの道を見つけました。心理学です。

心理学とは、そうした心の機微を扱う学問なのです。

偏差値とか名声とかはどうでもよいので、

とにかく心理学部を持つ大学を選んで、受験しました。

幸い、内申点がとても良かったので、

推薦でアッサリと、合格することができました。

受験勉強は地獄らしいので、

それを免れることができたのであれば、

これまでの地道な勉強も、無駄ではなかったのかも。


日本の大学というのは、奇妙なモノです。

心理学を学びたがっている受験生に対して、

心理学の知識や適性を、微塵も課さないのですから。

大学に進学するまで待てなかったので、

高校3年生の私は、自主的に心理学の扉を叩きました。

心理学の本を、読み漁ってみることにしたのです。

図書館に行けばいくらでもあるし、

両親の本棚にも、心理学本がいくつも置いてありました。

そうか、父も母も、同じようなことに興味を抱いたんだな。



心理学というのは、やはり、

私の気質に合っているように感じました。

心理学を探求するような人たちは、

私と同じような気質をしているようです。


彼らはたぶん、

ケバい格好をして渋谷でショッピングしたりはしません。

仮に東京に繰り出すとしても、

下北沢の路地裏の、小さな古いカフェで、

ほろ苦いカプチーノをすすりながら、ホコリ臭い小説を読みふけるのです。

彼らはたぶん、

ミニスカートのアイドルを追いかけたりはしません。

仮に大衆音楽が好きだとしても、

生音にこだわるロックバンドを、陰ながら応援するのです。

私は、彼らは、

騒々しいエンタメよりも、静かな芸術を愛します。

芸術は誠実で、芸術は崇高だから。


…なんていうか、

世間の流行に浅はかさを感じるようになったとき、

人は、心理学に興味を持つのだろうと思います。


私は、

心理学こそ、私の理想の学問だと感じました。

幼少からポッカリ空いたままだった穴を、

心理学が埋めてくれるような気がしました。

私の抱える無数の疑問を、苦悩を、

心理学がひもといてくれるような気がしました。


『自由の空へ』

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