エピソード46
チ「あぁちょっと待て」
チャモロは何かを思い出したかのように、一行を呼び止めた。
チ「アミンと言ったか。こっちに来なさい」
アミンが近寄ると、チャモロは牢屋ごしにアミンに手をかざした。
何やらぶつぶつと念じている。
チ「はっ!!」
アミンを青白い光が包み込んだ!
ア「え?なに!?」
チ「おまえに《レミーラ》の魔法を授けた。
暗闇の中で、灯りをともす魔法だ。たいまつの代わりだ」
ア「ありがどう!でもどうして?」
チ「なんとなくな。これから必要になるような気がした。
まぁドワーフなんぞ地下や暗闇をさまようことの多い生き物だ。覚えておいて損はなかろう」
ゆ「へぇ、色んな魔法があるのね!」
な「夜中暗くておトイレ行くのが怖いとき・・・」
ゆ「使っちゃダメ!!」
チ「魔法に中毒するなかれ。身を滅ぼすぞ」
一行は暗がりから外に出た。
何か新しくやることはないものかと、ブランカの城下町を歩く。
何もかもが立派な、麗しい町という印象を受ける。
途中、教会を通りかかったので寄ってみると、教会の中にも大きな美しい絵が何点も飾られていた。
だんだんと、この街の特色が見えてきた。
町「おぉ、見ない顔だな!」と愛想の良い町人が声をかけてきたりする。
一行が事情を話すと、有力な情報が手に入った。
町「人助けしたいってか!まぁ冒険者は名を上げてナンボだしな。
それなら酒場に行くといいよ。《WANTED》って知らないか?
お尋ね者や雑用依頼の掲示板さ。大きな城や町には大抵あるんじゃないか?
ブランカにもそれがあるよ」
ア「とりあえず、行ってみるか」
男に教わった酒場は、城下町の中心部にあった。
数多くの食堂や土産物屋や店が並び、賑わう界隈である。
な「酒場ってお酒飲むところでしょう?入りたくないなぁ(汗)」
キ「昼間はまだ営業してないわよ、きっと」
一行は薄暗い地下へと降りていった。
カランカラン。
な「むわっ!やっぱりくさいー」
酒場はまだ営業しておらず、人はまばらだが、昨夜の残りの酒臭とタバコ臭がまだ漂っているのだった。
ア「5分か10分さ。我慢しよう」
な「はぁーい」
店「いらっしゃい。開店はまだだよ?」
ゆ「私たち、《WANTED》っていうのを見に来たんです」
店「そうか、あっちの壁だ。依頼はいっぱいあるよ」
促す指の先には大きな掲示板があり、たくさんのビラが貼ってあった。
魔物退治、薬草探し、護衛、DIY、浮気調査・・・なるほど様々な依頼で溢れかえっている。
ア「魔物退治とかしてあげたらいいのかな?」
キ「わたしたちそんなに強いパーティではないから、魔物退治するなら難易度には気を付けないとね」
な「そんなの遭ってみないとわからなくない??」
ア「いや、目安はあるようだよ」
依頼書をよく見てみると、『受託の目安:中級魔法が使える程度』などと注釈が付けられている。
ゆ「そして、報奨金の高いものほど魔物も強くなるってカンジね」
まぁどこの世の中もそのような仕組みにはなる。
一行はまじまじと依頼を眺めた。やがて、
な「ねぇ、これなんかイイんじゃない?」
ななが指さしたのは、「隣国ギュイオンヌまでの護衛」であった。
な「馬車があるから楽ちんだし、4人で協力すれば護衛くらいならどうにかなりそうじゃない??」
ア「なるほど。他の国や町を見たいという僕らの望みにもマッチする」
キ「イイんじゃなぁーい♪」キキは何でも良さそうだ。
依頼主の住所は・・・なんと、「城の裏庭の小屋」とある!
城に住む者の依頼とは、興味をそそられる。
一行は再び来た道を戻った。城の入口の番兵は、一行が出禁を喰らったことまでは知らないらしく、再び通ってもお咎めはなかった。しかし、目的の小屋を探して城の敷地内をうろついていると、「お前らは女王に無礼を働いた者たちだろう!」と追い立ててくる者もあった。
ア「地下牢の魔法研究者に書物を届けに来たのです」などと咄嗟の言い訳をして、なんとか難を逃れるのだった。
な「知り合い作っておいて良かったね♪」旅は、旅が次の旅を創るのだ。
彼らは善人でありたかったが、馬鹿正直で居続けるわけにもいかないようだった。しかも人との問答にはやり直しも利かない。難しいゲームである。