エピソード58
一行は、少し広くなった馬車で再び旅立った。
ア「しばらくはギュイオンヌにも立ち寄れないなぁ」
な「どうして?」
ゆ「退路を断ちたいってベロニカが言ってたでしょ?
私たちの顔を見せるべきじゃないのよ」
な「そっかぁ。もう会えないってこと?」
ア「会うとしたら、どっか遠い町でだ」アミンは遠い目をしながら言った。
キ「あー!!忘れてた!!」
ア「どうした!?」
キ「ベロニカに、かわいい肖像画の一つでも描いてもらっとくんだったわぁ!
わたしの似顔絵だったら、ホンキ出しても大丈夫だったのにぃ♡」
ア「もーぉいつもくだらないことばっかり言って!」
あははははは!
別れも困難も、悲しくはない。
前を向く心があれば、旅は何も悲しいことはない。
東の南へ向かって、歩を進めた。
絶え間なく潮風が吹くようになってきて、「こういう空気の匂いは新鮮だ」とアミンは言った。海辺というのはドワーフにはあまり縁がない。
キキにとってもあまりなじみはないようで、楽しみだと言っている。
ななとゆなにとって、潮風の匂いはバカンスを連想させた。やはりワクワクする心を止めることは出来ない。
やがて、海沿いの村を見つけるのだった。
宿屋の店主の生まれ故郷はここだろうか?仮にそうじゃないとしてもまぁいいだろう。
―モンバーバラの村―
民家や店の数々は、ドワーフの里のように木や竹、素朴な材料で造られていた。
しかしこの村には華があった。原色の花や織物でもって、家々はカラフルに彩られていた。
な「なんか楽しい♡」華やぎを見るだけで、女たちはテンションが上がるのだった。
リゾートを求めて旅行者が来る村ということで、いくつもの宿があり、店があり、人の姿があった。
ゆ「まずは宿を確保しよう」とゆなは堅実に言うが、ななとキキは土産屋だの服屋だのの華やぎに、いちいち立ち止まるのだった。
まぁ、気持ちはわかる。
ゆなとアミンはしびれを切らし、通りの茶屋のベンチでかき氷を食べて休んでいた。
そこにキキとななが戻ってくる。
キ「じゃぁーん♡かわいいでしょぉ♪」
なんとキキは、華やかなパレオ・ビキニを身にまとって二人の前に現れた!
ゆ「どしたのよそれ!?」
キ「買っちゃったぁ♡」
ゆ「買っちゃったって!」
キ「ベロニカから報奨金貰ったから、たまにはイイでしょう?」
ゆ「まぁそうかもだけど・・・」
キ「ほらぁ、ビーチじゃゆなのその服装のほうが浮いてるわよぉ!」
ゆ「いいよぉ、私はぁ(汗)」
キ「でも、もうゆなのぶんも買っちゃったー♪」
ゆ「えー!!
ていうか、浮いてるのはやっぱキキちゃんのほうだから!
ななだって元のままじゃん」
な「わたしは、ゆなが着るんなら、わたしも水着、着たいなぁ(照)」
というわけで、4人ともビーチスタイルにそうび変えさせられてしまうのだった。
キキがチョイスした、かなり派手なビキニに。
恥ずかしい恥ずかしいとは言っても、ななとて悪い気はしないのだった。
アミンは黄色いTシャツに夏色の海パンを履かされ、頭にはサングラスを載せている。
キ「カッコいいわよ♡」
ア「えへへ(照)」悪い気はしない。