エピソード65
セ「はぁ、はぁ」
ここからはどうすればいいんだろう。セーニャは辺りを見回す。
ももんじゃが眠っていた辺りに、また石板と赤い丸い宝石が見える。
セーニャは石板の文字を読む。
セ「おそら・・・の・・うえで・・・あいましょう」
丸い宝石に手を置くと、またゴゴゴと壁が開くのだった。
その先には、大理石できちんと壁を装飾された壮麗な祠があった。
とても小さな祠である。たった一人の少女のために造った、と言わんばかりに。
真ん中には石碑があり、また文字が刻まれている。
その足元には宝箱。
石碑の周りには草が芽吹き、花が咲いている。なんでこんなところに美しい草木が育つのだ?勇気ある少女を祝福するために、魔法は何だって起こすのか。
セーニャは宝箱に手を掛ける。
大きな宝箱のその中には、小さな小さな麻袋が入っていた。
セ「なんだろう?」
セーニャは麻袋を手に取り、中身を取り出してみる。
なんと、種がたくさん入っている。
セ「トウモロコシ・・・?」
そうだ。トウモロコシの実種がたくさん入っているのだった。
セーニャが里でいつも見ているものよりも、少し実なりが大きい。上等な種なのだろう。
セーニャは最後に、石碑の文字を読んだ。
セ「わすれても・・・また・・おもいだすの・・です」
セーニャには、さっぱり意味がわからなかった。
10ほどあった石板の文章を、1つ1つ思い返してみる。
セーニャには、やっぱり意味がわからなかった。
しかし、なんとなく意味がわかった。
なんとなくだ。
でも、なんとなくでいいのだろう、とセーニャは思った。
大冒険の最後にあったのがトウモロコシの種にすぎなくても、セーニャは不満ではないのだった。
そうだ。これはすべてが大切なことだ。わたしにとって。
文字の下にはまた赤い丸い宝石がある。セーニャは手で触れる。
ゴゴゴと音がすると、なんと壁が開いて光が漏れた。
セーニャは、地球のへその頂上に立っていた。
セーニャはそこから、地平線の彼方までずっと向こうを見渡した。
そして彼女もまた、心に誓うのだった。