エピソード79
一行は大きな酒場を探した。この城にも《WANTED》の制度はあった。
ア「誰の助けをしてあげよう?」
4人は貼り紙をまじまじと眺める。
な「あ、これなら出来そう!」
3人「なになに?」
『プチアーノンをペットにしたいから、1匹捕獲してきて!』
ゆ「はいはい。後でねぇ(汗)」
キ「うふふふ。なな一人でも出来るかもよぉ♪」
な「いやぁキキちゃんも来て!」
ア「はいはい遊ぶのは10秒までだ。あとは真面目にやって!」
ゆ「これは?
『体が焼けるように熱い。何の病気かわからないが治してほしい』
な「何の病気だろ?ゆな心あたりあるの??」
ゆ「ううん。わからないけど、話を聞いたら何かわかるかも」
ア「とりあえず行ってみよう」
依頼主の住所は、教会の裏の民家とあった。
一行はそこまで訪れた。
トントン。
ゆ「病気の方がいると、酒場の掲示板で見ました」
?「入ってくれ!」中から声がした。
わりかし大きな民家の中に、男がぽつんと横になっている。
ゆ「私たち旅の者です。私はゆな。あなたは?」
ハ「ありがとう。私はハグリッドという。
こう見えて、この国の元兵士団長だ」
4人「えぇ!!」
ア「もっと立派な救護場があるのに、どうしてこんなところで?」
ハ「『元』だからこそ、だよ。
私は先日、原因不明の病で前線を退いた。
兵士長といえども前線で役に立たない男に、割ける人員も薬草もない。
軍の人員も城の人員も私に構う暇などないんだ。
だから自分で人を募った。万が一、旅行者などがあの貼り紙を見るかもと願ってね」
ゆ「良かった!
誰の手にも届かない人を助けたいと、思っていました!」
ハ「あ、ありがとう」
ハグリッドはゆなのその言葉にささやかに感動したが、何とリアクションしていいかわからなかった。
ゆ「それで、容体は?呑気にしてもいられないのかも」
ハ「あぁ。体中がカッカと熱いんだ。焼けるように苦しい。
彼これもう1週間くらい、この状態が続いている・・・」
ア「《やくそう》や《まんげつ草》は?」
ハ「効かなかった。《どくけし草》も」
ゆなは周りを見渡した。
ゆ「この部屋は暑いですが、いつもこうなの?」
ハ「暑いのか?これがこの国の当たり前だから・・・」
ゆなはハグリッドの額に手を置いた。
ゆ「熱いな!8度5分ってところか」
ゆ「1週間前は、何をしていました?」
ハ「兵士長をしていたよ。
私はあまり前線に出ないが、ほとんど毎日、夜間待機していた」
ゆ「夜中も?まさか、鎧を着たままで!?」
ハ「そうだ。いつ出兵かわからんからな」
ゆ「暑苦しかったのでは!?」
ハ「それが普通だと思っていたが・・・」
ゆ「体を冷やすべきだわ!
エアコン・・・ひんやりと冷たい部屋などありませんか?」
ハ「そんなものこの国にありはしないよ」
な「《ヒャド》は?」
ゆ「それじゃ温度調節が上手くいかない!」
ア「冷たい場所で、安静にすればいいのか?」
ゆ「アミン!何か名案がある?」
ア「兵士長さん、この辺に山はある?
山のふもとに、鍾乳洞はない?えっと、洞窟のこと」
ハ「北西に二十里行けば、アララト山という山がある。
そのふもとに大きな自然の穴が開いているよ。
そうだ!そこは夏でもひんやりと涼しい!」
ゆ「行ってみましょう!」
一行はハグリッドを馬車へと担ぎ込んだ。
ゆなは町の商店で食材をたくさん買い込んだ。もちろん繊維質の豊富な野菜も。