エピソード82
バタン!
ハグリッドは勇ましく詰所のドアを開いた!
ハ「心配かけて済まなかった!私はこうして健康を取り戻した!
いいや気を病むことはない。私は兵士長に戻ったりはしない。好きにやればよい。
私は本日付けで、救護班の特別顧問に就任することと相成った。
食事についての指示がある。
肉だけでなく野菜をしっかり食べるように。
戦闘後の著しい体力消耗時も同様。負傷時も同様。
ニンジン、大根、その他根菜をしっかり食べたまえ。
救護班の食事担当には後にレシピを配る。そのとおりに食事を改めるように!」
ゆなを先頭に、4人はしばらくの間、兵士たちの食事の調理に奔走した。
2週間もすれば、グレイスの兵士たちは元の健康と男気を取り戻した。
教会の裏のハグリットの家。
ハグリットは元気な体で、ななたちに相対した。
ハ「改めて礼を言おう。心から感謝する。
君たちのおかげで、グレイスの兵士たちは士気を取り戻した。
魔法にも、薬草にも頼らず体を作るというのは、人の体が百年生き、この国が千年続くために、きっと不可欠なことなんだ!」
ゆ「ど、どうも(照)」ゆなははにかみながら答えた。
ハ「さて。私の依頼を受けてくれたことに対して、報酬を贈らなければならない。
武器や防具を贈ることは造作ないのだが、それを買うだけの金は持っていると言ってたな?」
ア「あぁ。画家の友人が工面してくれたお金があってね」
ハ「それに、あまりゴツゴツと武装したくもないと見える」
な・キ「そうなんですぅ♪」
ハ「まず1つは・・・。
それでも君らのパーティの前衛のために、《銀のむねあて》の1つでも贈ろうと思うが、どうだろうか?
子供サイズの胸当てなどなかなか流通していない。しかし軍事国家グレイスならそれが少々ある」
ア「え、僕の防具ってこと!?」
ハ「そうだ。防御力の強化にはなり、それでいてそんなにかさばらないと思うが」
ア「えぇ、嬉しいなぁ!
でも、ゆなばっかりがんばったのに、僕の装備品でいいのかな?」
ゆ「いいんじゃない?別に♪
私ばかりがんばったわけでもないわ」
ハ「ははは。良い仲間を持ったな。羨ましいかぎりだ。
いや、私の国の兵士は、まだ長年かけてしつけていかなければならない。
おっとっと!話が反れてすまん。
もう1つ。贈りたいものがある」
な「何かなぁ!お姫様のティアラ?」
ゆ「あんたは黙ってなさい!」
ハ「先日・・・
洞窟の中で眠っていた時、たくさんの夢を見た。子供の頃の夢だった。
ア「そんなこと、言ってたね」
ハ「そのうちの1つが、気になってな。
というのも、
あの洞窟の奥で、仙人のような老人がひっそりと暮らしていた。
子供の頃私は、その老人に会ったことがあるような気がする。
その夢を見て思い出した。
しかし、本当に会ったのか定かでない。それも子供の頃に見た夢にすぎないのか?」
ゆ「洞窟の奥に!?」
な「仙人!?」
ハ「そんなことはありえない。
と私は思っていた。だから夢か幻だろうと思っていた。
しかし・・・」
ア「ドワーフは洞窟の奥深くで生活したりもするよ」
ハ「そうだ。ドワーフという人種と実際に触れ、そなたの話など聞いているうちに、洞窟で暮らす仙人というのが空想でもないような気がしてきた」
な「楽しいおとぎ話♡」
ハ「いや、そうじゃなくてだな(汗)」
ゆ「ちゃんと話聞いてなさいよ!」
ハ「その仙人というのが、『山の神』だとかなんとか名乗っていた記憶がある」
4人「山の神!?」
ハ「さらには、魔法を得意とする仙人だったような気がする。
つまりは、そなたらが会うことに意義があるんではなかろうか?」
ア「あるかも!」
ハ「しかし、彼の話は他言しないでもらいたい。
そもそもただの迷信かもしれんのだが、もし実在するとして・・・それは公にしてはならんことのような気がする」
キ「トップシークレットを、報酬としてわたしたちにくれるのね♪」
ハ「そうだ。プライスレスな贈りものはないかと、ずっと考えていた」
ア「太っ腹ぁー!」