エピソード83
一行は再び馬車をアララト山へと走らせた。
調査団の兵士も、戦闘員の兵士も今はいなかった。彼らは懲りずにハーゴンの残骸を荒らしに来そうだが、このときにはまだいなかった。
ア「どっちだろうな?」
この山には鍾乳洞は1つではない。少なくとも2つ、もしくはそれ以上あるようだった。
ゆ「とりあえず、ハグリットを療養したところからじゃない?」それが妥当だろう。
一行はおそるおそる、鍾乳洞を奥へと進んでいった。大きな洞窟は想像以上に奥まで続いている。だんだん道も狭くなってくる。そして魔物の姿も見え始めた!野生のコウモリか?違う。魔物だ!
な「魔物の住んでる洞窟に、仙人のおじいさんも住めるのかな?」
ア「相当強いか、魔物と仲良しか・・・?」どちらもありうる。
ゆ「ねぇ、ふと思ったんだけど・・・
この山って、リーザスの北の鉱山と同じ山だったりしない??」
ア「え?・・・あ、そうかも!
北に上って、東にぐるっと回ってきて・・・。同じ山の違う裾野にいるだけかもしれないな」
3時間も鍾乳洞を進む。もはや常人が耐えきれる探索の距離ではなくなった。
やがて、道の奥にロウソクの明かりが灯るのが見えた。
ア「マジかよ!」
灯りに近づいてみると・・・
?「ふぉっふぉっふぉ、そなたらが来るのを待っておったぞ!」
4人「おぉー!!」
?「ペットのプチアーノンを捕まえてきてくれたんじゃろ?」
4人「ズコー!!」
?「なんだ!違うのか。残念じゃのう」
ア「あなたが洞窟の底で暮らしているという仙人ですか?」
?「ふむ。まぁ仙人というのも間違っておらん」
な「違うよ!山の神様なんですよね!!」
?「そうじゃな。『山の神』と名乗って民の心に話しかけたこともある」
ゆ「いろいろ肩書きがある?」
?「そうじゃな。山の神というよりは、正確に言えば『山の、ロゴス』」
4「ロゴス??」
?「すべての山の管理人じゃ。まぁ神みたいなもんじゃが、別に全知全能のチカラはない。
山の行く末を、ただただ見守っておる」
な「ふぅーん。退屈なお仕事」
?「ふぉっふぉっふぉ。そうじゃな」
な「わたしはなな。ロゴスさんは寂しくないの?」
マ「ふぉっふぉっふぉ。ロゴスは名前ではない。わしはマヤという」
な「えぇー、女の子みたい!」
マ「ふぉっふぉっふぉ。そなたらの国ではな」
キ「魔法の達人でもあるの?マヤさんは」
マ「まぁ達人というほどのことでもないがの。
こんなところまで来てくれたもんじゃ。依頼のプチアーノンは連れてきてくれんかったが、何か贈り物をしてやろう」
な「魔法の伝授とか??」
マ「それを望んでおるのじゃろうなぁ。ふぉっふぉっふぉ!
どれどれ。皆そこに並んでごらんなさい」
マヤは4人のオーラを観察した。
マ「ふーむ。色々授けられるものはあるが・・・
そなたらのガイド霊とも相談せなばならんからなぁ。
ふーむ」
な「がいどれいって、だれ?」
ゆ「シー!静かに!」
マ「ふーむ。
そなたら、あまり戦いたくはないのか?」
な「う!そんなことは、あります(汗)」
マ「そうかそうか。いやなに、悪いことではない。
わしもおんなじじゃからの」
な「ドキドキ!」
マ「ところで、次に来るときにはやはりプチアーノンを・・・」
キ「はやくしてくださる!?」
マ「す、すまんすまん!ひさしぶりのおしゃべりじゃもんで。
よし決めたぞ!
ななと申したか?わしとたくさんしゃべってくれたそなたに、
じゃじゃーん!
《スクルト》の魔法を授けようぞ!」
な「ふぅーん。なにそれ??」
マ「これ!もっと驚きなさい!!」
な「だって知らないんだもぉん(汗)」
マ「仲間全員の守備力を上げる魔法じゃ!すべての戦闘に役立つぞ!」
な「わぁ、すごぉーい!それって見えない鎧みたいじゃん!」
マ「まさしくその通りじゃ!質量のない鎧!」
マヤは喋りに満足すると、杖で地面に魔法陣を描いた。
ななをそこに座らせ、儀式を始める。
マ「△§ΦБζщΖ・・・
むぅーん。はっ!!」
魔法陣が青白く光り輝いた!
マ「よし、成功したぞ!」
な「わぁ、やったぁ!!」
マ「よしよし。良かったなぁ」