エピソード92
エントリーは総勢16組。地元ソレッタから5組と、世界各国から11組だった。
それぞれが順番にダンスを披露する。
会場はとても盛り上がっている。
司「エントリーナンバー11番、エンドールからお越しの、ペロリンキャンディーズでぇす!」
司会者の号令に促され、3人はついにステージに上がった。
みんなが見ている!みんなが盛り上がっている!
キキはとても嬉しそうに、余裕しゃくしゃくに、投げキッスを送ったりウインクしたりしている。
ななはドキドキしてきたが、「これはまさに自分が憧れていたコンサートステージだ!」と気付いて、得も言われぬ恍惚を感じた。これをエンジョイしなければ人生は意味がない!
ゆなは「もう楽しければいいや」とはにかんだ。
3人が無事にダンスを踊り終えると、他の組と同じくらい、大きな拍手や歓声が起こったようだった。
キ「いえーいセンキュー!センキュー!チュっ♡」
な「楽しかったぁー♪」
ゆ「良かった~恥かかなくて!」
そして残りのグループの演目も、みっちり堪能するのだった。
夕方。すべてのグループの演目は終わった。
コンテストゆえ、審査があり順位発表がある。
ドキドキ、そわそわ!
司「第1位、フィギュー国出身、『スケッターズ』の皆さん!!!」
衆「うぉぉぉぉ~!!!!」
ま「えぇ、わたしたちが!?」
なんと、スポットライトの先にいたのは、先ほどななたちにアドバイスをくれたあのまりんだった!
まりんは一瞬とても嬉しそうに喜んだが、すぐに慌てた表情をして仲間たちに何やらひそひそと相談をしている。
会場の一同が、なにごとかと静まり返る。
まりんは最後に「うん!」と仲間たちに意思確認をすると・・・
スポットライトの下で、驚くべきことを言った!
ま「わたしたち、優勝を辞退します!!」
衆「えぇぇぇぇ~!!!???」
会場は騒然となった!一体どうしたというのだ!?
衆「何なんだ~!」
衆「ナメてんのか~!」
衆「冷やかしか~!」
理由を求められていることを、まりんは察した。
ま「だって、わたしたちが一番上手だとは、思えないから!」
まりんの仲間たちは同意するようにうんうんと頷くのだった。
審査員のデスクはざわついた。そして何やら検討している。
1分の後、司会者が声を上げた。
司「えー、それでは審議の結果、2番目の評価だった、フラン王国の『バリーダンサーズ』を優勝とします!!」
衆「うぉぉぉぉ~!!!!」
しかし、奇妙なことが起きた!
なんと、バリーダンサーズもまた、「私たちは優勝を辞退します!私たちが一番麗しいは思えないから!」と叫んだのだ。
そして・・・3番目の評価を受けていたメアリー国の『チアーズ』の面々も、「私たちは優勝を辞退します!!」と言った。
審査員たちは、空気を察した。
そして審査員長のまおは、司会者から強引にマイクを奪った。
まお「出場した16組、すべてが優勝です!!」
すると出場者たちは、キャーキャーと飛び上がって喜ぶのだった!
そして「アンコール!アンコール!」と出場者のくせに囃したて始めた。
コンテストは17時でお開きの予定だったが、司会者は機転を利かせて、アンコールの時間を設けるのだった。
そして16組すべて再びステージに立ってダンスを披露し、観客たちは大いに盛り上がった!!
ダンサーたちはそれぞれに、充実感に満ちた幸せな表情をしていた。
一行の3人もそれぞれに、充実感に満ちて幸せだった。
中でもキキは、涙を流すほどに喜んでいた。彼女は「博愛」というものが大好きなのだ。
「人間の中にもこんなに博愛的な人たちがいるなんて!」