エピソード95『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』
- ・
- 2024年5月2日
- 読了時間: 4分
エピソード95
一行は卑弥呼との会話に一通り満足すると、今日も田んぼに出た。
体力のある4人にとって、野良仕事で汗をかくのも悪くはない。
「何日か続けてもいいな」と4人は共に思うのだった。
昼下がりになると、大きな畦道で若い娘たちのはしゃぎ声が聞こえた。
ななやゆなは思わず反応する。
声の方向を眺めてみると・・・おや?どこかで見たことのある衣装だ。
な・ゆ「もしや!?」二人は顔を合わせて、そして娘たちに駆け寄った。
な「おーい!
こないだのダンスコンテストに出てた人たち??」
娘「きゃぁー!一番かわいい踊りしてた人たちだぁ!!」
一行は手を合わせ、抱き合いながら、キャッキャと喜んだ。
白い着物に赤い袴をはいた、凛々しくも可愛らしいチームだった。今もその衣装を着ている。
な「田んぼでダンス練習してるの?」
娘「ううん。稲刈りしてるのよ」
ゆ「えー!あなたたちも稲刈りするの?」
な「ダンスの衣装で稲刈りするの?」
娘「もっちろん♪この村じゃ誰でもするわ。卑弥呼様だって!
これはダンス衣装じゃないわ。いつもこれを着ているの」
な「いちばん稲刈りの上手い人が、次の卑弥呼様になるの??」
娘「きゃははは!違うわ。
どっちかって言えば、一番踊りの上手い人が、卑弥呼様に選ばれるのよ」
ゆ「ダンスの才能が重要なの!?」
娘「踊りの才能っていうか、協調性?
決められた振り付けを出来るかどうか。決められた練習時間をちゃんと守れるかどうか」
な「真面目な人が優勝ってこと?」
娘「そうね!踊りが上手いかどうかはあんまり重要じゃないわ。
でも踊りは楽しいし、別に卑弥呼様に選ばれなくたって巫女をやるのよ♪
あなたたちこそ、どうして他所の村で稲刈りなんてしてるの??」
女の子のお友達が大勢増えて、シコク村での滞在は益々楽しくなってしまった。
舞い巫女たちは3人を、村や近隣のあちこちに遊びに連れ立った。大きな木に登ったり、滝つぼで泳いだりした。
野良仕事でびっしょりと汗をかいたあとに滝つぼで水遊びをするのは、とても気持ちよかった。
ときには稲刈りをせずに、レジャーだけで一日が終わってしまう日もあったが、誰もそれを咎めはしないのだった。
全体で見れば、3人はよく仕事をしている。皆はそれがわかっているので咎めない。時にはアミンも加わる。
舞い巫女たちもテンション高くきゃーきゃーと子供じみているが、それなりに仕事をし、他の手仕事もこなすのだった。
10日もすると、稲刈りの終わりが見えてきた。
「あなたたちはもう終わりで良いのでは?」とターシャが言った。
一行はこれで打ち切ることにした。
一晩休んで翌朝、ターシャからお給金を貰うと、4人は最後に卑弥呼に挨拶をしていくことにした。
ゆ「そして卑弥呼様、1つお願いがあるですが?」
卑「何でしょう?」
ゆ「私たち、世界樹という場所を探して旅しているんです。
何か知っていることはありませんか?」
卑「申し訳ありません。特段、存じ上げません」
な「あのぅ、神様に聞いてみてもらえませんか?」
卑「そうですね。しばしお待ちを・・・」
そう言うと、卑弥呼は目を閉じて沈黙しはじめた。
侍女は奥のふすまから出ていき、男性を連れてきた。
男は4人の前に現れると、静かに一礼だけをした。卑弥呼の邪魔をしないように沈黙したのだ。
やがて卑弥呼は目を開けた。
卑「兄様、こちらへ」
兄は静かに卑弥呼の元へ寄る。
卑弥呼は兄に、ひそひそと耳打ちをした。
兄はしばらく思案し、そしてうんと頷いた。
卑「賜りました。
『月の満ち欠けがそなたらを導くであろう』とのことです」
4人「えー!!
・・・よくわかんない(汗)」
卑「はい。『ヒントしか与えたくない』と神は考えるようです」
ゆ「どこに行けばよいか、それが知りたいのですが・・・」
卑「場所についての情報は、旅の中で手に入るでしょう。それを知る者は少々おります」
な「どうもありがとう!」
一行は深々と礼をして、屋敷を出ることにした。
しかしゆなはふと振り返り、卑弥呼に言った。
ゆ「あのう。もし・・・
もし私が、自分の国や騒がしい俗世が耐えられないと感じたなら・・・
この村に住んで暮らすことは、出来るでしょうか?」
卑弥呼はニコッと微笑んだ。
卑「快楽の少ないこの村でよいのなら、誰もあなたの訪れを拒みはしないでしょう♪」
ゆ「あ、ありがとう・・・!」
ゆなは走って屋敷を出た。
キ「ほら、今のうちに飽きるほどペロリンキャンディー舐めておきなさい♪」
キキは大事なペロリンステッキをゆなに差し出した。