CHAPTER 10
一向は、城の西にある関所のほこらを目指した。そう遠くはない。
ムーンブルクへ抜ける海底路を通るための関所になっている。
サマルという仲間を手に入れ、《てつのつるぎ》を手に入れたローレは、最初にこの城に辿りついた頃よりもずいぶんと強くなっていた。
「未知なる土地に立ち向かう準備は整った!」ローレはそう確信し、興奮とともに武者震いをするのであった。
平原はどこまでも魔物が徘徊している。
あばれこまいぬがあらわれた!
ローレの攻撃!あばれこまいぬに42ポイントのダメージ!
あばれこまいぬをやっつけた!
ミ「きゃーローレ様カッコいいですぅ!」
サ「君、まともな剣を装備したらホントに強いんだなぁ!」サマルは改めて感心した。
ロ「怪力だけが僕の長所なんだ。怪力だけが」
サ「もうどんな理由があろうと、手合わせはしないぜ?ローレの勝ちだよ。それは明白さ」
二人は、互いが互いをリスペクトしていた。サマルは、一騎討ならローレに敵わないと思っていたが、ローレはローレで、サマルのほうが優れた勇者だと感じていた。
関所はあった。
薄暗い階段を降りていくと、ほこらがある。
関所としての番人は、年老いた賢者が担っていた。
賢「ほっほっほ。器用貧乏の王子がついにここまできなすったか」
サ「もう、みんなそればっかり言うんだな!参っちゃうよ」
賢「隣はローレシアじゃな?」
ロ「私は…」
賢「よいよい。ここまで来れば身分も何も関係はない。
通行証だなんだは形ばかりのもの」
ロ「は、はぁ」
賢「すでに知っておろう。
妹国ムーンブルクは、魔王軍の襲撃を受けて壊滅した。
王女は…生きているという話がある」
サ「それは本当だったのですか!」
賢「城は焼け野原じゃ。か弱い姫が生きているはずもないが、生存情報を訴える者もいる。
そして…わしはかすかに彼女の魂を感じ取っておる」
ロ「では!!」
賢「わからんよ。
もし、もし…ムーンブルクの王女が生きておったなら…
2人の王子よ。そなたらの旅はムーンブルクの残党退治では終わらん。
さらに広い世界に旅立てよ」
サ「魔王討伐ですか!?」
賢「そういうことになるじゃろう。
ロトの子孫が3人揃うなら、そなたらが未だ未熟な赤ん坊であったとしても、3つ巴になればロトの勇気を超えるかもしれん。
祖先に出来たことは子孫にも出来る。時代はそう鼓舞して進化してきた」
ロ・サ「はい!!」二人は力強く答えた。
ロ「して、魔王はどこにいるのでしょうか?」
賢「わからん。
まずは龍を探しなさい。
龍が、鍛え抜かれた者たちを導くであろう」
『転生したらローレシアのメイドさんだった件』
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