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CHAPTER 3

CHAPTER 3


やがて二人は、

小さな町にたどりついた。リリザの町だ。

町「よう。見ない顔だな。行商の用心棒ってとこか?」

ロ「えぇ、まぁ」

人々は気さくに話しかけてくる。ここはのどかな土地であるようだ。

町「ここはリリザの町だ。サマルトリアとローレシアの中継地点さ。

 大したもんは売ってねぇぜ。何しろのどかな土地だからな」

ミ「サマルトリア。勇者ロトの血を引きしご親戚の国ですわね。

 あそこの王子様も剣が立つと聞きます」

ロ「そうだね。一度お手合わせ願いたいな!」

ミ「戦わないでくださいまし!力をお借りするのです(汗)」


男「ははは!剣が立つってほどのこともねぇよあそこのお坊っちゃんは」

他の町民が割って入ってきた。

男「ちゃんと剣の稽古をすりゃいいのに、魔法だのなんだのにも手を出したりするから、何の競技でも勝てやしねぇ。器用貧乏ってやつだ。ははは!」

ミ「ムカっ!失礼な!!」

男「えぇ?なんでお嬢ちゃんが怒るんだよ?」

ミ「当然です!サマルトリアの王子はローレ様の…」

ロ「ほらほら!静かな町を騒がしくしちゃいけないよ」

王子はミユキの反論をすばやくいさめた。そしてミユキにささやいた。

ロ「王族だってことは誰にもバレちゃいけないんだ。わかってるだろ?」

ミ「そうでした!もうしわけありません!」


王子は町を見渡した。

ロ「武器を買おう。粗末な武器で充分だと思ったが、勇み足だった。

 あばれこまいぬが一撃で倒せるくらいの武器は必要みたいだ」

ミ「いいえ!ローレ様ならレベルが上がればあんなヤツ一撃です!」

ロ「ははは。そうかもしれないけど、毎回キミに命を救われてるわけにもいかないからなぁ。

 あとは《やくそう》も買わなくちゃ」

少し先に武器屋の看板が見える。

小さなのどかな町は、まだ日が長そうだ。


2人は武器屋を覗いた。

ロ「どうも。いい武器あるかな?」

武「武器の店にようこそ!

 いい顔してんなぁあんちゃん?

 その顔つきで《どうのつるぎ》はねぇぜ。

ロ「そうさ、だからもう少しまともなのが欲しいんだ」

武「これなんかどうだ?

 ローレシアの王子が武術大会で優勝したときに装備してたやつさ。

 《ふぶきのつるぎ》。どうだ?立派だろう?」

ロ「いやぁ、それじゃなかったよあの時は」

武「え?なんであんちゃんが知ってんのさ?」

ミ「ローレ様!ダメですよ!!」ミユキは小声でローレに釘を刺す。

ロ「あ、いや!ほら、僕も剣士のはしくれだからさ。

 あの武術大会は見に行ったんだよ」

武「とにかく良い武器さ!

 5000ゴールドでマケとくよ。買ってくだろ?」

ロ「いやぁそんなにお金持ってないんだ」

武「嘘だろ?よその国から来たろうに。5000くらい持ってんだろ!」

ロ「いや、とにかくもう少し普通のでいいからさ…」

結局王子は、200ゴールドで《石のオノ》を買った。

どこでも売っているような普及品の武器だ。


ミ「ローレ様、それはいくらなんでもダサすぎますわ!」ミユキは本気でゲンナリしている。

ロ「ダサいとかそういう問題じゃないんだよ。

 でまかせを言う武器屋だ。高い金を出しても偽物を掴まされるような気がしてさ。

 だからどこでも売ってるような武器にした」

ミ「ローレ様。そもそも《石のオノ》を買うお金しか持ってらっしゃらないじゃないですか!」

ロ「いやそれもあるんだけどさ(汗)」

王族の後ろ盾に頼らず旅をするというのは、意外と大変だなと痛感するのだった。

ミ「ご飯とかどうしましょう?《やくそう》も買わなければならないのに!」

ロ「そうだね。この武器でもうちょっと戦ってこよう」

王子は町の外に出て、魔物としばし戦った。《石のオノ》を装備して、少しだけ強くなった。そしてレベルも2つ上がり、あばれこまいぬくらいは一撃で倒せるようになった。



『転生したらローレシアのメイドさんだった件』

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