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CHAPTER 38

CHAPTER 38


司「では第2試合、シンバよカモーン!」

向こうの登場口からはまた、フーフーと気性の荒い狂犬が放り投げられてきた。

狂「ワンワンワン!!」

司「それではぁ、第2試合開始ーー!!」

衆「うぉーーーーーーー!!」

…そしてまたローレは動かない…。

シンバはしびれを切らして、ローレに襲い掛かってきた!

ローレは無表情で身を守っている。ローレに3ポイントのダメージ。

衆「おいおい!なんだよそれ!」

斬新な戦い方も、繰りかえし見せられるとつまらない。

衆「フヌケ―!ちゃんと戦えー!!」

しかしローレは野次に動じない。じっと立ち尽くしている。


…同じような戦いが繰り広げられ、やはり相手は力尽きて倒れた。

司「ローレの勝ちー!」


ローレは同じ戦いを延々と繰り返した。

戦いはとてもつまらなく、ほとんどの聴衆は愛想を尽かして帰っていった。

試合は10試合目を超えた。

さすがにローレのダメージも蓄積してきた。ローレも息を切らしはじめている。

鎧に守られていない部位などはあちこち流血も見える。

ロ「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」それでもローレは動じない。


試合は20試合に達した。もはや観衆は数人しかいない。熱狂もしていない。

司会者は太鼓を叩き、「試合終了ーーーー!!」と叫んだ。

司「控えている野犬がすべて出尽くしてしまったぜ!よってここで試合終了ーー!!」

残りの観衆も「やれやれ」と両手を広げてそそくさと帰っていった。

一行「ローレ!!」仲間たちは一目散にローレに駆け寄った!

ロ「はぁ、はぁ、はぁ、良かった。役目は果たせたね」

一行はローレを控え室に運んだ。


そこに司会者がやってくる。

司「オマエ、とんでもないことしてくれたなぁ!」怒りと戸惑いが入り混じった声で言った。

ロ「はぁ、はぁ。でも、ルールを厳守しました」

司「そうだがよぉ。決闘になってねぇよ!

 こちらと決められたルールを遂行しないことには王から何を言われるかわからねぇからとりあえずやったが、興行としてはサイアクなもんになったぜ!」

ロ「………。

 それで、戦績は?20匹でしょう。何位ですか?」

司「4位だ。今月の上から4番目。

 1位は33匹倒してる」

サ「33匹って!20匹でもう打ち止めだってアンタ言ってたじゃないか!」

司「そりゃ今日は打ち止めだ。

 また明日も出るか?そしたら今月の勝利数に加算してやるぜ。

 …いいや、出てもらいたくねぇ!」

サ「なに?」

司「チケットがさっぱり売れんだろうよ!おまえの試合じゃ!!」

サ「じゃぁ20匹からの加算は無理じゃないか!」

ロ「いいよサマル。食いつくな」

サ「でも!」

ロ「20匹でも4位なんだろう?

 それで僕らの欲しい報酬は手に入るんじゃなかったか?」

サ「そうだが…!」

ロ「それで良いんだ。そのためにやったんだ」


ム「ローレは結局、見世物の狂犬に一撃も攻撃をくわえなかった…!」

ロ「そう。見世物に濫用されるあいつらを攻撃せずに、目的を果たすすべを考えた。

 王にも審判にも立てつくことなく目的を果たすには?あれしか思い浮かばなかった」

ミ「ローレ様!!」ミユキは目に涙を浮かべながら、ボロボロのローレに抱きついた!

ロ「はは。僕なら出来る戦略だ。そのために鍛えてきた。体の全部を」

ミ「ローレ様ぁ!!」ミユキは顔をすり寄せて泣いた。

結局、望む報酬は無事に受け取ることが出来た。《きせきのつるぎ》だったらこうはいかなかったかもしれないが、《水の紋章》は主催者側にとって、よく価値もわからぬ古ぼけた骨董品にすぎなかったのだ。



『転生したらローレシアのメイドさんだった件』

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