CHAPTER 48
子供たちと別れて、一行は赤茶けた山をさらに北上していった。
見上げれば、さらに高い空をワシは静かに飛んでいる。上には上がある、と厳かにも冷酷に告げるかのように。
サ「はぁ、はぁ、なんかしんどいなぁ。風邪ひいてたっけ僕?」
ミ「きっと高山病です!こんな高地を歩いたことはなかったでしょう。
無理をせず、休み休み行きましょう」
サ「まぁ行けないこともないよ。休める場所なんてないしね」
道なき道を岩肌沿いに歩いていくと、やがて岩山にぽっかり口が開いているのだった!
ロ「これがテロスとやらへ続く洞窟か!」
中は天井が高く、とてつもなく広い。自然が何万年と掛けて浸食や隆起を繰り返し造り上げた、驚くばかりの洞窟だ。風はないが益々寒く、地面はゴツゴツと足場が悪く、時にはビショビショに濡れている。
どれほど長いのだろうか?ランタンは持つのだろうか?
一行の体力は、気力は持つのだろうか?
そして当然ながら、凶悪な魔物たちも襲い掛かってくるのだった!
ゴーレムは赤茶けたレンガで出来た巨人だ。まるでボスのような威圧感と攻撃力で、一行の歩みを阻む。力任せに殴ってきたかと思えば、地響きを起こして落石でこちらにダメージを与えてくる。
ゴーレムが急に《メラミ》の魔法を飛ばしてきて仰天したかと思えば、ゴーレムの巨体の影に隠れて小さな悪魔がにくたらしい笑みで小躍りをしている。ミニデーモンだ。正体がわかれば大したことはない、と思いきや《メラミ》のみならず炎を吐き、しかも集団で炎の洪水を作るから厄介だ!
キマイラロードは複数の魔物が交配された、遺伝子操作の悪用の未来を思わせるような魔物だった。獅子の顔を持ち悪魔の翼を持ち、恐竜のような胴体を持つ。強力な炎を吐いたかと思えば、《マホカンタ》でこちらの魔法攻撃を無効化してしまう!その《マホカンタ》を先に《マホトーン》で封じようとも、ただ爪で引き裂いてくるだけでも凶悪なダメージを被るのだった。
サ「ミユキ!何か燃えそうなものがあったら拾いながら歩いてくれ!
空腹は我慢出来ても、ランタンが絶えて真っ暗になったら僕らはおしまいだ!」
ミ「はい、わかりました!」何気に責任重大である。
本当に自然がこんな洞窟を造り上げたのだろうか?
まったくもって奇跡のようだ。しかし自然洞窟とはそういうもので、まるで惑星(ほし)は古代から未来まで、延々と冒険者を試すために存在しているようであった。
人がせっせと何かを作ることが、まるで虚しく思えてしまう。
何十時間歩いたかわからない。朝夕の感覚はなく、時間感覚の狂った特殊な環境の中で、休むことすら忘れて一行は30時間も歩いた。
そしてついに、外界からの光が差す出口を見つけた!
『転生したらローレシアのメイドさんだった件』