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CHAPTER 63

CHAPTER 63


ロ「ついに来たか…」ローレは目を細めた。

一行は言葉もなく彼方の神殿を見つめた。

その時だった!

?「私の声が聞こえますか?」

一行「!?」

セ「テロスのセレシアです。

 今、テレパシーを用いてあなた方4人に話しかけています」

サ「セレシア!?」

4人は思わずキョロキョロするが、当然周囲にその姿はない。本当に霊感によって声だけが届けられているようだった。

セ「ついに決戦のときが来ました。

 眼前に見えるものが大神官ハーゴンの神殿です。

 わたくしは…その決戦を必ずしも望んではいませんが、あなた方がそれを選ぶならせめてもの力添えをいたす次第です。

 …覚えていますか?

 ミユキさんが『大神官ハーゴンに勝てるのか?』と問うたときのこと。

 わたくしは『勝つかもしれないし、負けるかもしれない』と答え、『それ以外かもしれない』と続けました。そんな些細な言葉は覚えておられないかもしれませんね。うふふ、かまいません。

 『それ以外』とは何でしょう?

 つまり、あなたがたには『戦わない』という選択肢もあったのです。しかしあなた方はそこまでやってきた。

 そのことを責める気はありません。あなたがたが選んだ人生です。

 心して挑んでください!

 どうか、歩行が出来なくなるほどには体を傷つけぬようにお願いいたします。

 あなた方はまた、あのテロスへの洞窟を登ることがあるかもしれませんので…。


 ご武運を、心からお祈り申し上げます。

 ロトの子孫たちに、光あれ!」

セレシアが優しく力強くその言葉で締めると、なんと一行のHPとMPが全快した!



ロ「行こう」

ローレは皆に、最後の出陣を促した。タイミングなど計っている場合でもない。

誰も何も答えないが、足は力強く同じ方向に踏み出していく。勝者の凱旋行進のように勇ましく。恐れはない。すべての覚悟がある。4人ともに。

やがて4人は、そびえる神殿の柱と柱の間をくぐった。

そこには、ずっと探していた者の姿があるようだった。


魔法使い風情の、人間とも魔物ともとれぬ者が祭壇に向かって何か念じている。

一行の訪れを察知して、言葉のトーンが変わる。

?「誰じゃ?私の祈りを邪魔する者は?」

そしてキっ!とこちらを振り向いた。

ハ「愚か者め!私を大神官ハーゴンと知っての行いか!?」

ロ「悪の元凶を倒しに来た!」

ハ「悪の元凶か。

 うぬら、私を滅ぼせば世界が平和になるとでも思うとるのか?」

一行「!!」

サ「なに!?」

ハ「少し考えればわかることよ。

 ハーゴンを滅ぼしたところで、町の窃盗も強姦も嘘も妬みも消えはしない。うぬらから金を騙し取る商人も消えはしない。町の中における人の営みは、今日も明日も変わりなく続くだけ。

 では世界を平和にするにはどうすればよい?罪なき地球を守るにはどうすればよい?」

一行「………。」

ハ「答えはわかっておろう。

 そして、私は魔王ではない。一つの神官。破壊神を崇め、それを呼び出す者」

サ「魔王かどうかはどうでもいい!邪教の教祖だって世界の敵だ!」

ハ「破壊神を邪教と呼ぶのはあくまでうぬら人間だ。

 なぜ邪教と呼ぶか?破壊されることを恐れるからだ。

 『破壊』そのものは邪でも正義でもない。

 生物は、すでに不要になったものを破壊して新しいものをそこに創る。うぬら人間もな」

ム「破壊の神…」

ムーンは、《やまびこの帽子》を授かったときのことを思い出した。「その力はまるで破壊の神のようだ」と老婆は言っていた。

ハ「うぬらも『神の怒りだ』なんだと垂れて、悪態を付く者にいかずちを呼んだりするであろう。

 その魔法の詠唱に応えているのが、私が崇めるのと同じ、破壊の神であったとしたら?

 攻撃魔法を使うことは、常に破壊の神に力添えを請う行為。人間は誰も、その内情を知らぬまま攻撃魔法に憧れておるがな…。くっくっく、愚かなり。知らずのうちに破壊神の信徒だ。

 私とうぬらは紙一重。

 紙一重。

 その言葉の意味はいずれわかるだろう。

 …生きて帰ることができたならな!」


大神官ハーゴンがあらわれた!!


ハ「しかし私が手を下すまでもない。戦いは嫌いだ。戦いを好む者に任せたい」

大神官ハーゴンは仲間を呼んだ!

ナイトリッチA、B、C、Dがあらわれた!

ナイトリッチAは《イオラ》を唱えた!ローレ、サマル、ムーンはそれぞれ70程度のダメージ!

ロ「うわぁ!」

ハ「さらに滅入りそうな事実を教えてやろう。

 このナイトリッチたちは皆、以前人間の戦士だった。死んであの世に行った後、人間がいかに愚かか、そして大神官ハーゴンこそが従うべき指導者だったと気づいた者たちだ。人間大衆に制裁を喰らわすべく、人間の魂が舞い戻ってきた姿なのだ!

 そして。

 この私も元は人間だ!」

何が正義かなんて、もはやよくわからなかった。

ただもう、目の前の戦いからは引き返せないのだ。

ムーン「《イオナズン》!!」ナイトリッチA、B、C、Dに150程度のダメージ!大神官ハーゴンにも124のダメージ!

 《イオナズン》はやまびこのようにこだました!ナイトリッチA、B、C、Dに150程度のダメージ!大神官ハーゴンにも120のダメージ!

ナイトリッチの群れをやっつけた!


ハ「はっはっはっは!素晴らしい。

 もはや破壊神のごとくだな!」

ム「破壊神…!」ムーンは心がぎゅっと締め付けられた。

ロ「ムーン、動揺するな!今は善悪も何も考えるな!」


サマルは《スクルト》を唱えた!ローレ、サマル、ムーンの守備力が上がった!

大神官ハーゴンは《灼熱の炎》を吐いた!ローレ、サマル、ムーンはそれぞれ100程度のダメージ!

ハ「ふははは!私の攻撃手段は魔法だけではないぞ!」

大神官ハーゴンは仲間を呼んだ!

ナイトリッチA、B、C、Dがあらわれた!

ナイトリッチBはムーンに斬りつけてかかった!しかしローレがそれをかばった!

ミ「ローレ様!!」ミユキはベホイミを唱えた!ローレのHPが回復した!

ローレはハーゴンに斬りつけてかかった!ハーゴンに135のダメージ!

ムーン「《イオナズン》!!」ナイトリッチA、B、C、Dに150程度のダメージ!大神官ハーゴンにも118のダメージ!

 《イオナズン》はやまびこのようにこだました!ナイトリッチA、B、C、Dに150程度のダメージ!大神官ハーゴンにも122のダメージ!

ナイトリッチの群れをやっつけた!

ハ「肉壁など敵ではない、と言わんばかりだな。おぉ怖い!」

ロ「ムーン、動揺するな!」

しかしムーンは目から涙があふれてきた。自分は今何をしているのだ!?

サマルは《ベホイミ》を唱えた!ムーンの傷が回復した!

ロ「強がってるがこちらが押してるぞ!勝ち目はある!」

ハ「はっはっは!どうでもいいことだ」


ローレは《特薬草》を使った!サマルのHPが回復した!

サマルは《マホトーン》を唱えた!大神官ハーゴンには効かなかった!

大神官ハーゴンは仲間を呼んだ!

ナイトリッチA、B、C、Dがあらわれた!

ナイトリッチCは重厚な刀でなぎ払ってきた!ローレ、サマル、ムーンはそれぞれ40程度のダメージ!

ムーン「《イオナズン》!!」ナイトリッチA、B、C、Dに150程度のダメージ!大神官ハーゴンにも126のダメージ!

 《イオナズン》はやまびこのようにこだました!ナイトリッチA、B、C、Dに150程度のダメージ!大神官ハーゴンにも125のダメージ!

ナイトリッチの群れをやっつけた!


大神官ハーゴンは《ベホイミ》を唱えた!大神官ハーゴンのHPが回復した!

大神官ハーゴンは《ベホイミ》を唱えた!大神官ハーゴンのHPが回復した!

ロ「!!

 畳みかけるぞ!」

ローレは勢いよく飛び上がって力のかぎりに斬りつけた!大神官ハーゴンに180のダメージ!

サマルは避ける間もない素早い動きで《はやぶさの剣》を突き刺した!大神官ハーゴンに98のダメージ!

ムーン「《イオナズン》!!」大神官ハーゴンに127のダメージ!

 《イオナズン》はやまびこのようにこだました!大神官ハーゴンに121のダメージ!

ついに大神官ハーゴンは膝をついて崩れ落ちた!


ハ「お、おのれ、口惜しや……。このハーゴン様がお前らごときにやられるとは。

 しかし私を倒しても、もはや人類は救えまい!我が破壊の神シドーよ!ここに生贄を捧ぐ!ぐふっ!」

大神官ハーゴンはなんと、瀕死の自分の体をさらに傷つけ血を流し、祭壇の上に自らなだれこんで息絶えた!



『転生したらローレシアのメイドさんだった件』

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