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CHAPTER 7

CHAPTER 7


洞窟はひんやりとしていた。水がしたたりジメジメとしていた。

そして魔物がうごめいている。生息種はローレシア平原と異なり、もっと強い魔物が待ち受けていた。おおねずみが3匹で徒党を組んで襲い掛かってきたかと思えば、倒しても仲間を呼んでしまう。

バブルスライムも群れをなしてゆく手をさえぎる。王子は強烈な一撃でバブルスライムを仕留めるも、残り2匹が気味の悪い笑みを浮かべて攻撃してくる。そして毒に冒されてしまうのだった!

ロ「魔物の数が多すぎる!どうやって捌けばいいんだ!」

ミユキに《ホイミ》をかけてもらえば済むという問題ではなさそうに思えた。いや、王子は自慢の怪力で強引に押し進んだが、強い魔物が3匹以上も同時に出現するといつもジリ貧になってしまうことをもどかしく感じはじめた。

成人した王族たちはこの困難をどうやって切り抜けたのか?王子は懸命に戦いながら、同時にそんな問いに頭を巡らせていた。


洞窟には宝箱が落ちているが、ろくなものは入っていない。

しかし、また視界の向こうに宝箱が見える。ついついそっちに向かってしまうが、またろくなものは入っていない。そうして無駄に遠回りを強いられ、体力の消耗を強いられるのだった。

「よし。宝箱にはもうなびかない」王子はそう決心した。


やがて洞窟は奥の突き当りに達するのだった。

大きな扉がある。王子は扉を押してみるが、びくともしない。

ロ「どうすればいいんだ?」王子は首をかしげる。

すると…

?「汝ノ チカラヲ 示セ…!」

妙な声がしたかと思うと、扉の前の狛犬の石像が動き出し、襲い掛かってきた!

ロ「力を試す試練か!お安い御用だ!」

王子は得意気にオノを構え、石の狛犬に殴りかかった。

ガキン!石の狛犬に2ポイントのダメージしか与えられない!

そればかりか、屈強な石に殴りかかった反動で王子の体にダメージが入る!

ロ「なにぃ!?殴れば殴るほどこっちが痛手を負うのか!?」

しかしめげずに、王子は石の狛犬に飛び掛かっていった。

ミユキの《ホイミ》の援護を受けながら、王子は力技で懸命に狛犬に立ち向かう。1匹はやっつけたがまだ1匹残っている!


攻撃するたびにこちらの体が痺れてしまい、王子は朦朧としてきた…。

そのときだった!

?「《ギラ》!」

炎の帯が石の狛犬を包み込んだ!石の狛犬Bに18ポイントのダメージ!石の狛犬Bをやっつけた!


なんといつの間にか突き当りの扉は開いており、奥から少年が出てきたのだった。

?「神聖な儀式の最中だっていうのに、騒がしいから出てきてしまったよ。

 君たちを助けて、僕、正解だったのかな?」

ミ「あ、あなたは…!」

?「僕はサマルトリア国の第一王子。

 君たちは…見たところ、盗賊の類か何かだろう?」

ロ「あなたを探してここまで来ました!

 僕はローレシア国の第一王子。昔、小さい頃にお会いしたことがありますね」

ローレシアの王子は安堵の笑みを浮かべてサマルトリアの王子に歩み寄り、握手を求めた。

サ「君がローレシアの王子だって?バカ言え!

 王子がそんなみすぼらしい格好しているわけがなかろう」

ロ「本当さ!一人で旅立ってきたんだ!」

サ「まったく嘘の好きな盗賊だ。

 僕に用があるのか?この洞窟に宝荒らしに来たのか?

 残念ながらこの先には何の宝もないよ。とっとと帰りな」

ミ「ど、どうしましょう…!!」


ロ「あなたに、用があって来たんだ。

 魔王討伐の旅には、サマルトリアの王子の助けが必要なんだ」

ローレシアの王子は、ためらいもなく石のオノを放り投げた。

サ「敵意はないってか。

 しかし君がローレシアの王子だとどうやって信じたらいい?

 まぁ、よくよく考えてみたら、立派な鎧を着ていたからといって王子とはかぎらんがね。

 そうだな。どうやって信じたらいいんだろう?」

サマルトリアの王子は混乱している!

サ「いくらなんでも魔王討伐は無理だろう。相手が強大すぎるよ。

 僕はあくまで、魔王の手下に襲撃されたムーンブルクの城を助けに出るだけだ」

ロ「………!

 それでいい!西の関所を抜けて、君とともに旅が出来ればそれでいい!」

サ「君が本当にローレシアの王子なら力を借りたいところだけど、中途半端な盗賊と手を組んでもねぇ」

ロ「………。どうしたらいいんだ!」

ミ「ローレ様…!!」

ローレシアの王子はしばし立ちすくんで、そして思いたったように地面の《石のオノ》を拾い上げた。

ロ「じゃぁ、僕がローレシアの王子並みに強かったら、共闘する価値があるって判断してくれるかい?」

なんと、ローレシアの王子はサマルトリアの王子に飛びかかった!

サ「あわわ!なんなんだ君は!」

サマルトリアの王子は戸惑いながらも、決闘を受けてたつ。細身の体から細身の剣をしならせ、素早い間合いでローレシアの王子に反撃に出た!

ロ「なんの!」

ローレシアの王子は《石のオノ》でサマルトリアの王子の細身剣を巧みにいなす。

そして強烈にオノを振り上げて襲いかかった!サマルトリアの王子はひるんで身をかわす!

ローレシアの王子はそこにサマルトリアの王子がいないことをわかっていながら、渾身の一撃を地面に叩きつけた!

ドオーン!!洞窟に強烈な地響きが鳴り響く!!

サ「ひえぇぇ!!」

ロ「どうだ?」

サ「僕は、君の仲間になるしかないってことなのか?」

サマルトリアの王子が仲間に加わった!!



『転生したらローレシアのメイドさんだった件』

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