えぴそーど29 『魔王が女の子ってマジなの!?(仮) -もの言わぬ革命者-』
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- 2024年12月23日
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第2章 東南マジマ広すぎる
えぴそーど29
伝統工芸の提灯(ちょうちん)で有名な、ホイヤンの町だ。
一行は、川の見えるところに宿をとった。寝床を確保すると、また散歩に出る。
夜になると、店々の提灯に明かりが灯り、この町は一層美しくなる!日帰りしてはもったいない町だ。
そのため夜になると町はさらににぎわう。
川に浮かぶ小舟の多くは、観光客を乗せて進む。
すると、とある小舟の船頭が一行に声を掛けてきた。
船「そこの美人衆!舟に乗ってけよ!
ホイヤンに来たなら舟も楽しまないともったいないぜ!」
ヒ「おぉ、楽しまないと損な気がしてきた!(・∀・)」
カ「だからコロッとだまさなれないでよ!
こういうのを『客引き』っていうの。図々しい人たちがやってんのよ」
船「安っすいもんさね、時間貸しだしさ!」
ヒ「いくらなの?」
船「1時間で10ゴールド(約1000円)さ」
ヒ「セナちゃん、絶対に小舟で寝ちゃダメだよ!
朝起きたらすっごいお金とられるからね(≧∇≦)」
カ「コインパーキングみたいな会話ね」
船「安っすいだろ?たった10ゴールドだよ!」
ミ「でも乗り終わったあとに『1人につき10ゴールドだから40ゴールド払え』って言うんでしょう?」
船「ギクっ!」
カ「行きましょう。風情も捨てがたいけど、あんなおっさんの舟に乗りたくないわ」
ヒ「そしてあんな船頭しかいないのかぁ~」
ミ「こういうのも、観光地化する前はもっと良心的だったんでしょうけどね・・・」
カ「観光地って、観光地化する前のほうが良い観光地だったのよね」
ヒ「へ???」
ミ「うふふ。言い得て妙だわ!
ホイアンもね、私が初めてきたときは、もっと静かでいい町だったわ。
提灯の数は今よりも少なかったし、色はもっと地味でくすんでたけど、でもなんていうか、風情があったの。古都の風情が。
そういうのがだんだん世界から失われていくのが、ちょっと切ないわね・・・」
ヒ「あぁ、夕飯どうする?」
ミ「東南マジマに来たからには、屋台で食べてみたらどう?」
ヒ「屋台でぇ~!?」
ミ「意外と美味しいのよ♪」
一行は屋台のご飯に挑戦してみることにした。
屋台は目抜き通りにも裏道にもいくらでも出ている。流し台を見やれば何を売っている店かもすぐわかる。大抵、何か得意の1種類だけを出しているのだった。
とりあえず無難に食べられそうな、チャーハンの屋台を選んだ。
店「辛くするかい?」
ヒ「は?」
店「チャーハンは辛味を入れていいのかいって聞いてんだよ。
おたくら外国のモンだろう?辛いもの食べられるのかい?」
ミ「ヒナ、辛いもの食べられるの?」
ヒ「あ、あんまり得意じゃない(;・∀・)」
ミ「良かったわ事前に確認できて♪
おばさん、彼女のチャーハンは辛味抜きでお願い」
カ「私は少し辛いのでいいわ」
東南マジマの食べ物は、辛いものが多い。しかし、屋台や食堂の店主は大抵こんなふうに、辛味の調節をしてくれるのだった。
ヒ「おぉ、チャーハン美味しいよ♪
でもちょっとは辛くてもいいかも?」
ヒナタがそう言うと、店主は後から辛子を振りかけてやった。
カ「甲斐甲斐しいのね♪」
店「屋台なんて、客が5人しかいないんだからさ。なんでもやってやれんのさ♪
エビ食わないのかい?次はエビ抜きで炒めてやるよ」
ヒ「大きい店より小さい店のほうがイイってことじゃね!?Σ(゚□゚︎`)」
翌日・・・
「うーん、うーん」
なんと、今度はカンナがお腹を壊して寝込んでしまった!
ミ「あはは。屋台のご飯にあたったかしらね」
ヒ「そうだ!東南マジマの屋台で食べるとお腹壊すって、聞いたことあるよ?」
ミ「衛生状態が良いとは言えないからね。
でもね、屋台だからってこともないのよ。
珍しいもの食べることでお腹壊す人もいるし、冷たいもの飲み過ぎて壊す人もいるし。
発展途上国に旅行するなら、大抵誰でもお腹壊すの。
そうして土地に慣れていくのよ。誰にでも必要なことなの」
ヒ「屋台で食べるのもうヤメようよ?」
ミ「だからぁ(^▽^;)そうじゃなくてね。
屋台で食べたり、生の野菜食べたりして一度お腹壊したら、もう壊さなくなるのよ。
ヒナももうちょっとしたらお腹壊すかもしれないわ。
でも、それを乗り越えたら耐性が付くのよ」
カ「ミーさんもセナもぴんぴんしてるわ」
ミ「私は昔旅したから、《毒耐性》があるのね。
ひょっとしたらその遺伝子を継いで、セナも《毒耐性》があるのかも」
カ「そういえば昨日、船頭さんの勧誘とか、政治家の威圧にも、ミーさん動じなかったわよね」
ミ「東南マジマで、客引きの類とたくさん戦ったからね。
慣れてるのよ。《混乱耐性》もあるんだわ」
カ「バックパッカーっていう人たちは、状態異常に強いんだわ!」
ミ「東南マジマに来て数日は、ちょっと面食らうことも多いかもしれないけど、じき耐性が付くわ。
そしたらトキョーで見慣れないものの数々が、『楽しい』と思えるようになるんじゃないかしらね♪」