えぴそーど31 『魔王が女の子ってマジなの!?(仮) -もの言わぬ革命者-』
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- 2024年12月23日
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えぴそーど31
ミ「今いる場所から近いところで、大きな商業都市を結んでいけばいいんじゃない?」
カ「なるほど。それが一番賢い気がするわ」
ヒ「それって、次はドコ?」
ミ「そうね。シンガパールかしらね」
ヒ「なんかそれ、聞いたことあるよ」
カ「東南マジマの経済大国だからね」
ヒ「あぁ、思い出した!
コナン君の映画で爆破されたビルのとこだΣ( ̄□ ̄|||)」
ミ「思考基準がもっぱらアニメなのね(^▽^;)」
ヒ「えぇ!ダメだよシンガパール侵略しちゃ!」
カ「どうして?」
ヒ「だってシンガパールって、なんかオシャレな電車のホテルとかショッピングとかいっぱいあって、女子たちの弾丸旅行の憧れの的だよ!」
ミ「だから、そういう都市ほど魔王の反感を買いやすいってことなのよ(^▽^;)」
とにかく一行は、次の目的地をシンガパールに定めた。
東南マジマの大地を、内陸へと進んでいく。山々の多い、自然の多い大陸だ。
緑の木々が青々と生い茂る様は、ヒボン列島の田舎にもどことなく似ていた。そしてヒナタは妙ななつかしさや親近感を覚えるのだった。
しかし、大地の広さのスケールはヒボン列島とは大きく違う!東南マジマはとてつもなく広大だ。トキョーからヨロハマまで1日で辿り着けたものだが、東南マジマはそうはいかなかった。次の大都市が、ではなく、次の小さな町さえも、何日も歩いてようやく辿り着くのだった。
ヒナタは、この旅のスケールが予測できないほど大きくなることを、予感した。
ヒ「よぉーっし、高校3年までぜんぶ公休で休んでやるぜぃ(∩´∀`)∩」
カ「進級できないわよ(´_ゝ`)」
一行は、食料や寝袋を買い込んで、野宿しながらさすらうことを学習しはじめた。
次の目的地のシンガパールにさえ、何日掛かるかわかったもんじゃないと気づくと、一行は焦りの感覚が失せてきた。「ユルユルいこうや」てなもんだ。
すると、延々と変わり映えしない草原を歩くような一日にも、笑顔は増えていった。彼女たちはしょっちゅう立ち止まっては、花を摘んだり昼寝したり、湖で泳いだりした。
「魔王を討伐する」などという緊張感はすでにあまりないのだが、そんな自然体のほうが、かえって歩は進むのだった。道程が楽しいなら、パチンコ屋に中毒する必要もないのだ。
ちゃららららっちゃっちゃ~♪
川のほとりで魔物を倒したとき、不意にヒナタの頭の中で妙なファンファーレが鳴った。
ヒ「なんじゃこりゃ?音楽の女神からお告げ??」
カ「あなた新しい魔法を覚えたのよ」
ヒ「なんの魔法??」
カ「わからないわ。
むーんと気張って、何か発射してみなさいよ」
ヒ「むぅぅぅぅ~~ん・・・!!」
ヒナタは懸命に魔力を溜めた!そして、
ヒ「とやぁ!!」
ボンっ!ひゅ~~っ
小さな火球が飛び出した!
カ「《メラ》ね(´_ゝ`)」
ヒ「ショボぉぉぉー(´;ω;`)今さらぁぁぁ!?」
ミ「あはははは!」
カ「仕方ないわよ。あなた旅立ちの日にチートで《メラミ》覚えちゃったんだもの。
本当はそんなふうに、小さな魔法から地道に覚えていくものなんだから」
ヒナタがなにかと寄り道しても、カンナは怒らなかった。
ヒ「うぉーハイビスカスめっちゃ咲いてるぅー!!」とヒナタがハイビスカスの花を幾つも頭に飾っても、カンナは怒らない。
ヒ「おぃ、そこツッコんでくれたまえよΣ(゚□゚︎`)」と言っても、カンナはヒナタ以上にたくさんのハイビスカスの花を摘み取って、「これでハイビスカスティー作ろっと♪」と微笑むのだった。
カンナは3年前から冒険者だ。世界を救わんとする勇者たちが、ときに何年もさすらい続けることを、彼女は知っている。カンナはヒナタとの旅が2年3年と続く可能性について、覚悟が出来ているのだった。そういうスパンでこの旅を見ている。長距離走者の構えで走っているのだ。だから、よっぽど目の前に期限付きの出来事が迫るでもないかぎり、焦らないのだった。
カンナは、若さの割になかなか手練れな冒険者だった。強く、冷静で賢明だ。
ヒナタはカンナを「冷めてるなぁ」と思っていたが、ミサトはカンナを「落ち着いてるなぁ」と評していた。ミサトにとって、とても年下でもカンナとおしゃべりすることはとても楽しかった。
ヒ「カンナは《ヒャダルコ》覚えるのに、どんだけ苦労したの?」
カ「私は魔法学校で10年シゴかれてきたのよ」
ヒ「すごぉぉぉΣ(゚□゚︎`)」
カ「いや、私も大してスゴくないのよ。
以前あなたに『チートで《メラミ》覚えたくせに』って言ったけど、私も大差ないの」
ヒ「どして?学校で勉強したんでしょ?」
カ「そうだけど、結局のところ、親が大金積んで私立の学校で育っただけだからね。
学校行けばみーんな、《ヒャダルコ》くらいは覚えられるの。赤点ギリギリの子でもよ。
普通科の私立と変わんないわ。
勉強できなくたって、サボってたって、後で補習やって無理やり進級できたりすんのよ。んでそういうのが8割もいたりすんの。我ながら学校見ててドン引きしちゃったわ」
ヒ「もっとスゴい魔法使いもいるってこと?」
カ「本当にスゴい魔法使いってのは、長く旅して、独学で魔法を覚えるものよ。
こないだあなたが戦闘後に《メラ》を覚えたように、実践と工夫と研究の中で《メラゾーマ》まで会得しちゃったりすんの。
勇者に着いてって魔王倒す魔法使いとかは、そういう猛者多いわ。死ぬ気で戦ってんのよね。
レベル20の魔法使いはゴロゴロいるの。お金と私立の『チカラ』でどうにかなっちゃうから。
レベル30超える魔法使いはほとんどいないの。
まぁ現代のヒボンじゃ、どの業界でも似たようなもんよね。
良くも悪くも、チートな方法でプロレベルになれちゃう人がいっぱいいるわ。または、お金のある人じゃないとその最前線に行けない。それが『スゴい』のかと言ったら・・・どうでしょうね」
