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エピソード12

翌朝僕は、6時前にはもう、毛布から這い出していたけれど、

朝焼けもまた、美しかった。

とはいえ、昨夜の夕焼けほどじゃない。

大抵、朝焼けと夕焼けは、

ビデオを逆回転したみたいに、同じようなグラデーションを辿っていくモンだけども、

なぜか、昨夜見た、異星のような圧倒的な風景は、

日の出時にはお目にはかかれなかった。



カンタンに朝食を済ますと、

再びジープは走り出すだろう。

そして、幾つかの観光スポットを巡って、

昼前頃には、バフレイヤの町に戻ってきた。


カイロに戻るバスは、3時頃に出発するとのことだったから、

僕ら3人は、バフレイヤのメインストリートを歩いて、

食堂を物色することにした。

メインストリートって言っても、

牛馬車がのたのた走ってたりして、のどかな町だった。

それなりに風情があるよ♪


女の子たちは、

ある一軒の食堂で、足を止めた。

僕は、それに従ったよ。

中に入ると、

あんまりエジプト人っぽくない顔のシェフが、料理の仕込みを行っていた。

「ウチはディナーだけだよ?」

と、そのハーフみたいなシェフが優しい笑顔で言ったけど、

彼女たちは、オカマイナシに、奥まで入っていった!

そんで、

「何作ってるのー!?」

なんて、日本語とカタコト英語で、色々尋問し始めた!

ハーフのシェフと、

やはりエジプト人っぽくない顔のアシスタント・シェフは、

シゴトを邪魔されたことなど気にも留めずに、

エンターテナーの顔付きで、

アレやコレやと、料理の説明を始めた。

彼女たちは、興味津々に、楽しそうに、

彼らの「即席・料理教室」を楽しんでいた♪

僕は2人の専属カメラマンに徹し、

ハンバーグみたいなのをコネコネしてる仕草やらを、

バッチリと、写真に収めてやった。


彼女たちは、

本当に優秀な「旅人」だった。

きちんとリサーチして、時間に間に合うように行動する几帳面さと、

何でもナイ日常から喜びを拾い上げる、子どもっぽい感性を、

とてもバランス良く、持ち併せていたよ♪


…でも、人の名前を覚えるのはニガテらしく、

僕のことを「マサトシさんでしたっけ?」「トシマサさん?」

と、ずーっと違う名前で呼び続けていたよ(笑)



『導かれし者たち』

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