翌朝僕は、6時前にはもう、毛布から這い出していたけれど、
朝焼けもまた、美しかった。
とはいえ、昨夜の夕焼けほどじゃない。
大抵、朝焼けと夕焼けは、
ビデオを逆回転したみたいに、同じようなグラデーションを辿っていくモンだけども、
なぜか、昨夜見た、異星のような圧倒的な風景は、
日の出時にはお目にはかかれなかった。
カンタンに朝食を済ますと、
再びジープは走り出すだろう。
そして、幾つかの観光スポットを巡って、
昼前頃には、バフレイヤの町に戻ってきた。
カイロに戻るバスは、3時頃に出発するとのことだったから、
僕ら3人は、バフレイヤのメインストリートを歩いて、
食堂を物色することにした。
メインストリートって言っても、
牛馬車がのたのた走ってたりして、のどかな町だった。
それなりに風情があるよ♪
女の子たちは、
ある一軒の食堂で、足を止めた。
僕は、それに従ったよ。
中に入ると、
あんまりエジプト人っぽくない顔のシェフが、料理の仕込みを行っていた。
「ウチはディナーだけだよ?」
と、そのハーフみたいなシェフが優しい笑顔で言ったけど、
彼女たちは、オカマイナシに、奥まで入っていった!
そんで、
「何作ってるのー!?」
なんて、日本語とカタコト英語で、色々尋問し始めた!
ハーフのシェフと、
やはりエジプト人っぽくない顔のアシスタント・シェフは、
シゴトを邪魔されたことなど気にも留めずに、
エンターテナーの顔付きで、
アレやコレやと、料理の説明を始めた。
彼女たちは、興味津々に、楽しそうに、
彼らの「即席・料理教室」を楽しんでいた♪
僕は2人の専属カメラマンに徹し、
ハンバーグみたいなのをコネコネしてる仕草やらを、
バッチリと、写真に収めてやった。
彼女たちは、
本当に優秀な「旅人」だった。
きちんとリサーチして、時間に間に合うように行動する几帳面さと、
何でもナイ日常から喜びを拾い上げる、子どもっぽい感性を、
とてもバランス良く、持ち併せていたよ♪
…でも、人の名前を覚えるのはニガテらしく、
僕のことを「マサトシさんでしたっけ?」「トシマサさん?」
と、ずーっと違う名前で呼び続けていたよ(笑)
『導かれし者たち』