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エピソード13

僕らは、夕方にはカイロに戻った。

僕は、今朝あんなアクシデントが遭ったのに、

性懲りもなく、同じ宿に泊まった(笑)

なぜかって?

何の美学もナイよ(笑)

荷物を背負ったまま新たな宿を開拓するのが、

メンドクサかっただけさ(笑)


彼女たちは、カイロに戻ると、

その足で、トルコ方面に北上していった。

3ヶ月で世界一周する「駆け足プラン」だから、

あんまりのんびりは、していられないのさ。

僕は、一人でタフリール広場周辺の汚い町を徘徊して、

テキトーに夕飯を済ませた。



翌日は、

カイロの新市街のほうを、散策しに行った。

どっかのバス停から、ムリして歩いて行こうとしたモンだから、

散々遠回りした挙句に、

「シタデル」という、イスラム建築の宮殿に辿り着いた。


この「シタデル」は、

そんなに有名ではナイようだけど、素晴らしいよ!!

規模も大きいし、

RPGのダンジョンみたいに、あちこち迷子になれるし、

イスラム建築独特の美しさが、これでもかってほど堪能出来る♪

ココ、「シタデル」と、隣近所にある「ガーマ・ムハンマド・アリ」

という二つの建物は、

イスラム建築の中では、世界トップクラスで、美しく、楽しいと思う!!

トルコの「ブルーモスク」をも、凌ぐんじゃないかなぁ!



3時間ばかしも悠々と散策をして、

またムリして歩いて帰ろうとして、迷子になっちゃった!

そんで

くたびれたカラダを引きずって、1時間もウロウロすると…


ヘンな町に迷いこんじゃった…!!

ペールカラーの、妙ちくりんな小さな建物が、

ところ狭しと密集した町なんだ。

…町…?

「町」と呼んで、イイんだろうか!?

なにしろ、

ヒトの姿が、全っっっっっっっっったく、ナイ…

気味が悪いほどに静まり返ってんだ。

それだけじゃないよ。

建物は腐るほどあるのに、「家」とすんなり呼べそうなものは、

ある…のか?ナイ…のか?

そして、

時々、野犬がウロついていた…

凶暴じゃナイのが、せめてもの救いだった。


町をテキトーに徘徊して、

抜け出そうとしたときに、初めて、ヒトに遭遇した。

彼らはジモティのようで、

家族連れで、手には花束を持っていた。


僕は、悟った…!


ココは、巨大な墓地だったんだ…!!



後でガイドブックを調べてみたら、

案の定、そこは、「死者の町」と呼ばれる、巨大墓地だった。

イスラム人は、

死者にも生前と同じような住環境を、与えたいのかなぁ?

であるとすれば、ものスゴくイキな感性をしてるね♪

ちなみに、

霊感が強く、霊を見たり憑依されたりしやすいタイプのヒトは、

「死者の町」には近づかないほうがイイよ!!



『導かれし者たち』

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