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エピソード16

彼は、僕に、

連絡先の交換を申し出てくれた。僕は、快くそれに応じた。

彼の名前は、

とても発音の難しいモノで、よく思い出せないから、

仮で、「ダニー」としておこう。

ダニーがメールアドレスを書き込んでいるのを見たとき、

僕はまた、おったまげた!!


エナジーボウル―@…


「エナジーボウル!?

 キミ、エネルギーのボールが作れるのかい!?」

「アハハハハ!

 そうなれたら嬉しいんだけど、

 まだ今は、出来ないんだぁ。」

彼は、ふてくされるように首をすくめて見せた。

僕は、自分の「隠れスキル」を、明かすことにした。

「実は、僕さぁ、

 エネルギー・ヒーラーなんだよ♪

 手からビームが出せるんだ(笑)」

「レアリー!?

 ビーム!!??」

「ソーリー!

 ビームってのはジョークだけど、

 エネルギー・パワーは、放出出来るよ♪

 ダニーは、お肉を食べないようだから、

 多分、コレを感じることが出来ると思うけど…」

僕はそう言うと、

彼の左手を挟みこむように、自分の両手を添えた。


1分ほども、じーーっとエネルギーを流していると、

彼の表情が変わった!

「ワッツ!?

 ホット!ホット!

 手が熱くなってきたよ!?」

「やっぱりね♪

 お肉食べないし、ココロがクリアだから、

 目に見えないエネルギーを感じられるんだよ♪」

「ムカイは、

 ミュージシャンじゃなくて、

 プロのヒーラーだったのかー!!」

「あはははは!

 ヒーリングも、アンダーグラウンドで行ってるだけだよ(笑)

 歌にしても、ヒーリングにしても、

 誰もデリバリーしに行かないようなヒトのところにコッソリお届けするのが、

 楽しいのさ♪」

「…!!

 ムカイはやっぱり、『リアル・プロフェッショナルだよ…!!」

「そう?

 そう思ってもらえたなら、嬉しいよ♪」


ダニーは、ふと思いついたように言った。

「ねぇ!

 ピラミッドは?

 ピラミッドはもう、訪れちゃったの!?」

「ギザのピラミッドのこと?

 アレは、エジプトのハイライトに取っておくつもりだよ。

 幾つも、遺跡やパワースポットを巡りたいからさぁ。」

「『パワースポットに、癒されに行く』ってヤツでしょ?

 アメリカのスピリチュアリストも、良くやってるようだなぁ。」

「うーん。

 『自分が癒されに行く』って目的も、

 あるにはあるんだけどさ?

 僕の場合、

 各地の遺跡やパワースポットを『癒したい』って目的で、旅してるニュアンスが、

 強いかなぁ。」

「…!?

 ファンタスティック!!!

 ムカイ!!

 キミは、モノゴトの考え方が、みんなとはひっくり返ってるよ!!

 …ひょっとして、

 『パラダイム・シフト(価値観の大転換)』をもたらすためにやってきた、

 『スターピープル』ってヤツかい!?」

「あはははは!

 スターピープルなんて、

 地球上に何百万人も居るよ(笑)」

「ねぇ!ムカイ?

 ピラミッドに行く予定は、いつ?

 良かったら、

 僕も一緒に、同行させてもらえないかな!?」

「え?イイけど…

 えぇっと、何日後かなぁ…

 僕、あんまり厳密にスケジュール組むことは、しないんだぁ。

 思いがけず長居したくなっちゃう町とかも、あるからさぁ。

 えぇっと、

 アスワンに2日ステイして、夜行でルクソールに向かって、

 ルクソールに3日ステイして、夜行でカイロに戻るとしたら…

 6日後くらいに、カイロに戻ってくるカモ♪」

「レアリー!?

 それだったら、僕もギリギリセーフだ♪

 僕はアスワンには行かず、

 ルクソールだけ観光して戻ってくるから、

 4日後には、カイロに戻ってる。

 ムカイの連絡を待って、待機してるから、

 6日後の夜、カイロに戻ったかどうか、メールをくれないか?」

「オッケー♪

 ダニーとのピラミット・ビジットは、

 とても重要な観光になる気がするから、

 なるべく、予定通りに戻ってくるよ♪」


僕らは、話がひと段落すると、眠ることにした。

夜中の何時かに、電車はルクソールに到着して、

ダニーは、そこで降りていった。



『導かれし者たち』

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