彼は、僕に、
連絡先の交換を申し出てくれた。僕は、快くそれに応じた。
彼の名前は、
とても発音の難しいモノで、よく思い出せないから、
仮で、「ダニー」としておこう。
ダニーがメールアドレスを書き込んでいるのを見たとき、
僕はまた、おったまげた!!
エナジーボウル―@…
「エナジーボウル!?
キミ、エネルギーのボールが作れるのかい!?」
「アハハハハ!
そうなれたら嬉しいんだけど、
まだ今は、出来ないんだぁ。」
彼は、ふてくされるように首をすくめて見せた。
僕は、自分の「隠れスキル」を、明かすことにした。
「実は、僕さぁ、
エネルギー・ヒーラーなんだよ♪
手からビームが出せるんだ(笑)」
「レアリー!?
ビーム!!??」
「ソーリー!
ビームってのはジョークだけど、
エネルギー・パワーは、放出出来るよ♪
ダニーは、お肉を食べないようだから、
多分、コレを感じることが出来ると思うけど…」
僕はそう言うと、
彼の左手を挟みこむように、自分の両手を添えた。
1分ほども、じーーっとエネルギーを流していると、
彼の表情が変わった!
「ワッツ!?
ホット!ホット!
手が熱くなってきたよ!?」
「やっぱりね♪
お肉食べないし、ココロがクリアだから、
目に見えないエネルギーを感じられるんだよ♪」
「ムカイは、
ミュージシャンじゃなくて、
プロのヒーラーだったのかー!!」
「あはははは!
ヒーリングも、アンダーグラウンドで行ってるだけだよ(笑)
歌にしても、ヒーリングにしても、
誰もデリバリーしに行かないようなヒトのところにコッソリお届けするのが、
楽しいのさ♪」
「…!!
ムカイはやっぱり、『リアル・プロフェッショナルだよ…!!」
「そう?
そう思ってもらえたなら、嬉しいよ♪」
ダニーは、ふと思いついたように言った。
「ねぇ!
ピラミッドは?
ピラミッドはもう、訪れちゃったの!?」
「ギザのピラミッドのこと?
アレは、エジプトのハイライトに取っておくつもりだよ。
幾つも、遺跡やパワースポットを巡りたいからさぁ。」
「『パワースポットに、癒されに行く』ってヤツでしょ?
アメリカのスピリチュアリストも、良くやってるようだなぁ。」
「うーん。
『自分が癒されに行く』って目的も、
あるにはあるんだけどさ?
僕の場合、
各地の遺跡やパワースポットを『癒したい』って目的で、旅してるニュアンスが、
強いかなぁ。」
「…!?
ファンタスティック!!!
ムカイ!!
キミは、モノゴトの考え方が、みんなとはひっくり返ってるよ!!
…ひょっとして、
『パラダイム・シフト(価値観の大転換)』をもたらすためにやってきた、
『スターピープル』ってヤツかい!?」
「あはははは!
スターピープルなんて、
地球上に何百万人も居るよ(笑)」
「ねぇ!ムカイ?
ピラミッドに行く予定は、いつ?
良かったら、
僕も一緒に、同行させてもらえないかな!?」
「え?イイけど…
えぇっと、何日後かなぁ…
僕、あんまり厳密にスケジュール組むことは、しないんだぁ。
思いがけず長居したくなっちゃう町とかも、あるからさぁ。
えぇっと、
アスワンに2日ステイして、夜行でルクソールに向かって、
ルクソールに3日ステイして、夜行でカイロに戻るとしたら…
6日後くらいに、カイロに戻ってくるカモ♪」
「レアリー!?
それだったら、僕もギリギリセーフだ♪
僕はアスワンには行かず、
ルクソールだけ観光して戻ってくるから、
4日後には、カイロに戻ってる。
ムカイの連絡を待って、待機してるから、
6日後の夜、カイロに戻ったかどうか、メールをくれないか?」
「オッケー♪
ダニーとのピラミット・ビジットは、
とても重要な観光になる気がするから、
なるべく、予定通りに戻ってくるよ♪」
僕らは、話がひと段落すると、眠ることにした。
夜中の何時かに、電車はルクソールに到着して、
ダニーは、そこで降りていった。
『導かれし者たち』