エピソード166
れい!れい!起きて!目を覚まして!
れいは、自分を呼ぶ声を聞いた。あぁ、死後の世界にやってきたのだろうか。声もなんだかすごいエコーで響いている。現実の世界とは思えないや。
れい!れい!意識をしっかり持って!
まぶたが動いたわ!
れい!あなたはまだ死んでいないわ!
私は・・・死んでいない・・・?
れいはようやく目を開いた。
なんと、そこにはマローニの顔があった!プカシェルの浜で会った絵描きの女性だ。
マ「良かった!」マローニはれいの顔に抱き着いた。
マ「《ベホマ》!」マローニは《ベホマ》を唱えた。れいの傷が回復した。
《ベホマ》とは、《ベホイミ》よりもさらに上位の高等回復魔法だ。
マ「空腹や酸欠などあるから全快とまではいかないでしょうけど、多少動けるようになるはずだわ」
れいはマローニの救助によって、一命をとりとめた!
プカシェルの村へと引き返しながら、なぜれいの窮地をマローニがわかったのか、その理由を尋ねてみた。
マ「あなたと浜辺でしゃべった翌日の夜だったかしらね。
寝るとき目を閉じたら、まぶたの裏にあなたが視えたの。霊視というやつよ。
どこか洞窟に入っていこうとしている姿だったわ。
そのときは、『これは彼女への啓示かな』と思ったの。どこか洞窟に行くべきよ。と。
今度会ったら話せばいいかな、と軽く受け止めたのだけどね。
翌朝目覚めたとき、まどろみの中でまた映像を視たの。あなたが洞窟の中で倒れているじゃない!
『これは彼女への啓示じゃない!私への啓示だ!』と察知したの。
村の人たちに『この辺に洞窟はありますか』って訊いたらこの洞窟の話が出たので、それで来てみたのよ」
れ「そうだったのですか・・・!」
マローニに助けられたし、マローニに啓示を送った神か誰かに助けられたのだ。
マ「あなたこそ、なんでこんな洞窟に潜ったの?」
れ「お友達の探している剣が、この洞窟に眠っているという噂を聞いたんです」れいは無茶を冒した理由とこのダンジョンの大変さを、マローニに話して聞かせた。
Comments