翌日は、打って変わって、
一人で、公共機関を駆使して、アスワンの近郊を観光したんだ。
まず、
市営のフェリーで、ナイル川を横断して、対岸に渡った。
…そうそう!
アスワンのナイル川では、
フルーカという名前の巨大ヨットが、有名なんだ。
帆船走行もするし、エンジン走行もするから、
川の上流と下流を、長い距離でも行き来出来る。
3日くらいかけてナイル川を縦断するようなツアーもやってるよ。
モチロン、
対岸までの橋渡しや、目的地のナイ遊覧走行もやってる。
だから、恰幅のイイ金持ちの欧米人夫婦なんかは、
優雅にフルーカに乗って対岸に渡ったりしてるよ。
フルーカは、もっぱら個人経営だから、
川一つ渡るだけでも、交渉する相手や交渉の上手さによって、
値段がぜーーんぜん、変わってくるよ(笑)
10ドルで渡るヒトもいれば、30ドルで渡るヒトも居る(笑)
…発展途上国によくある「完全交渉制」の乗り物だと、
オンナジ乗り物で、オンナジ距離を移動したって、
3倍程度の値段差が付いちゃうのは、ザラなんだよ(笑)
…ちなみに、
市営のフェリーで渡る場合には、1ドルも、掛からない(笑)
対岸には、
岸に着いた途端に、
小高い、茶肌の、山が見えるだろうさ。
「岩窟墳墓群」っていう、チョっとした遺跡があるんだよ。
岸から遺跡の入り口までは、
ラクダ・タクシーにまたがって、優雅に散歩することも出来る。
僕は乗る気が無かったから、値段交渉すらしなかったけど、
ラクダ・タクシーもやはり、
交渉の仕方によって、値段はコロコロ変わるだろうさ。
3ドルのヒトも居れば、10ドルのヒトも居るよ。
「岩窟墳墓群」って遺跡自体は、大して面白くナイ。
だから、観光客の姿もほとんどナイ。
ココに滞在した3時間ばかしの間に僕が見た観光客は、
わずかに、2人だよ(笑)
それなりに、RPGの山岳系ダンジョンみたいな趣はあるんだけど、
どうにも迷宮度が低いなぁ。
カンジンなところは、カギが掛かって入れないしさぁ…
何でカギがかかってるのかって?
誰か、偉いヒトの墓だろうさ。
きっと、ピラミッドをこしらえるほどの権力が無かったから、
「ピラミッドくらいのサイズの山」に、
簡素な墓を、作らせたんだろうさ。
メインとなる墓を越えても、尚のこと登っていくと、
山のてっぺんに、小さな東屋みたいのを発見した!
僕は、こういう、
みんなが気付かないような隠しスポットを探し当てるのが、得意なのさ♪
今回もモチロン、
山の頂の避暑地を独占出来るモンかと思ったら…
すでに先客が居た!!
しかも、女の子だ!
上まで登ってみると、
それが日本人であることが、解った。
山の頂を絶え間なく吹き抜ける、涼風に当たりながら、
2人でしばらく、雑談をしていた。
彼女は、
これからフルーカに乗って、ルクソールまで北上するんだそうだ。
それはなかなか、イキなアイデアだなと思ったよ♪
…ただ、ルクソールに辿り着くまでに二日も掛かるというから、
ダニーとの約束がある僕は、断念したけどさ。
山のてっぺんから周囲を見渡していると、
左手のほうに、小さな集落が見えた。
それがさぁ、
民家が、ほとんどみーーーーんな、水色をしてんだよ!!
ガイドブックには、「水色の町 ヌビア村」と書かれていたよ。
僕は、こういう、
「独自の趣を持った集落」が、大好きなんだ♪
「旅してるなー!」ってキブンに、させてもらえるからさ♪
2時間も東屋で話し込むと、
僕は、彼女を残して、下山することにした。
『導かれし者たち』