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エピソード19

翌日は、打って変わって、

一人で、公共機関を駆使して、アスワンの近郊を観光したんだ。


まず、

市営のフェリーで、ナイル川を横断して、対岸に渡った。



…そうそう!

アスワンのナイル川では、

フルーカという名前の巨大ヨットが、有名なんだ。

帆船走行もするし、エンジン走行もするから、

川の上流と下流を、長い距離でも行き来出来る。

3日くらいかけてナイル川を縦断するようなツアーもやってるよ。

モチロン、

対岸までの橋渡しや、目的地のナイ遊覧走行もやってる。

だから、恰幅のイイ金持ちの欧米人夫婦なんかは、

優雅にフルーカに乗って対岸に渡ったりしてるよ。


フルーカは、もっぱら個人経営だから、

川一つ渡るだけでも、交渉する相手や交渉の上手さによって、

値段がぜーーんぜん、変わってくるよ(笑)

10ドルで渡るヒトもいれば、30ドルで渡るヒトも居る(笑)

…発展途上国によくある「完全交渉制」の乗り物だと、

オンナジ乗り物で、オンナジ距離を移動したって、

3倍程度の値段差が付いちゃうのは、ザラなんだよ(笑)

…ちなみに、

市営のフェリーで渡る場合には、1ドルも、掛からない(笑)



対岸には、

岸に着いた途端に、

小高い、茶肌の、山が見えるだろうさ。

「岩窟墳墓群」っていう、チョっとした遺跡があるんだよ。

岸から遺跡の入り口までは、

ラクダ・タクシーにまたがって、優雅に散歩することも出来る。

僕は乗る気が無かったから、値段交渉すらしなかったけど、

ラクダ・タクシーもやはり、

交渉の仕方によって、値段はコロコロ変わるだろうさ。

3ドルのヒトも居れば、10ドルのヒトも居るよ。


「岩窟墳墓群」って遺跡自体は、大して面白くナイ。

だから、観光客の姿もほとんどナイ。

ココに滞在した3時間ばかしの間に僕が見た観光客は、

わずかに、2人だよ(笑)

それなりに、RPGの山岳系ダンジョンみたいな趣はあるんだけど、

どうにも迷宮度が低いなぁ。

カンジンなところは、カギが掛かって入れないしさぁ…

何でカギがかかってるのかって?

誰か、偉いヒトの墓だろうさ。

きっと、ピラミッドをこしらえるほどの権力が無かったから、

「ピラミッドくらいのサイズの山」に、

簡素な墓を、作らせたんだろうさ。


メインとなる墓を越えても、尚のこと登っていくと、

山のてっぺんに、小さな東屋みたいのを発見した!

僕は、こういう、

みんなが気付かないような隠しスポットを探し当てるのが、得意なのさ♪

今回もモチロン、

山の頂の避暑地を独占出来るモンかと思ったら…

すでに先客が居た!!

しかも、女の子だ!


上まで登ってみると、

それが日本人であることが、解った。

山の頂を絶え間なく吹き抜ける、涼風に当たりながら、

2人でしばらく、雑談をしていた。

彼女は、

これからフルーカに乗って、ルクソールまで北上するんだそうだ。

それはなかなか、イキなアイデアだなと思ったよ♪

…ただ、ルクソールに辿り着くまでに二日も掛かるというから、

ダニーとの約束がある僕は、断念したけどさ。


山のてっぺんから周囲を見渡していると、

左手のほうに、小さな集落が見えた。

それがさぁ、

民家が、ほとんどみーーーーんな、水色をしてんだよ!!

ガイドブックには、「水色の町 ヌビア村」と書かれていたよ。

僕は、こういう、

「独自の趣を持った集落」が、大好きなんだ♪

「旅してるなー!」ってキブンに、させてもらえるからさ♪

2時間も東屋で話し込むと、

僕は、彼女を残して、下山することにした。



『導かれし者たち』

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