エピソード195
禍々しい色の参道を通って、城へと近づく。扉のこちら側に魔物は見えないが、どこからかシューシューと音がする。城の中にはまた魔物が巣食うのだろう。れいは城の扉の前で、1つ大きく呼吸をして気合いを入れ直す。
扉の向こうはすぐに大きな広間であった。人間の城ならダンスパーティーでもするのだろう。
真ん中に人影が見える。図体の大きな何者かが威圧感たっぷりに待ち構えている。
上半身は人のようで、器用にオノを構えてさえいるが、下半身はどう見てもドラゴンめいた四本足の怪物だ。半人半獣というやつだ。やけに気配が少ないのは、体が微妙に浮いているからだろう。
れいは、わずか数秒でも無駄にすまいと相手を観察しながら、恐る恐る近づく。
れ「貴様が魔王クシャトリア?」
魔物は嫌味な声で返した。
セ「あんたの探し人はこの奥さ。
オレ様はその片腕。その名はセルゲイナス。地獄より召喚されし大悪魔の一柱!
倒さなきゃ先には進めないぜ」
れ「覚悟の上よ!」れいは威勢で張り合った。
セ「少々相手の闘気を計れるようだな?
しかしそれは無意味だ!」
セルゲイナスは持っている斧を、威嚇がてらにダン!と地面に叩きつけた!
すると後方のテラスから多勢の魔物がさらに姿を現した!
セ「1つだけ忠告してやろう。
貴様、魔法使いだろう?
くれぐれも、魔力は温存しておくことだな。クックック!」
セルゲイナスたちが現れた!
セ「やれ!」
セルゲイナスが号令を掛けると、後方の魔物たちがれいに襲い掛かってくる!
れいは胸の高鳴りを抑え、強い眼差しで視界のすべてを睨みつけた。
れ「《イオナズン》!!」れいは開幕早々《イオナズン》を唱えた!多くの一流魔法使いが切り札としている上級魔法だ!
ボボボボン!ボボン!ボボン!強烈な爆発が広間を埋め尽くす!
しかしセルゲイナスの手下の魔物たちはその魔法ではくたばらない!すさまじい体力の持ち主だ!
れ「!まとめては無理なのか!」
魔物たちは勢いを緩めずに襲い掛かってくる!
れ「《マヌーサ》!」れいは絡め手を加えた!敵を幻惑させ、攻撃のミスを誘った。あたりは怪しい霧に包まれる。
魔物たちはてんで方向違いな場所に殴りかかる!しかし手数が膨大だ!れいは素早く身をかわす。
相手がまごついている間に、一体一体斬りつけていく!
しかし!
ピシャーーーー!!!
セルゲイナスは《マヒャド》を唱えた!
れいを氷の津波が襲い掛かる!れいは後ろに飛び下がりながら《ベギラゴン》で相殺した!
しかし魔物の群れは少しずつれいを押しやってくる!
れ「幻惑が効いている間に・・・
《スカラ》!」れいは自分の守備力を高めた!
セ「馬鹿めが。凶悪な魔物たちが打撃攻撃にばかり走ると思うか!」
れんごくまちょうCは《メラゾーマ》を唱えた!れいは《マヒャド》で迎え撃つ!
スカルドンBは凍える吹雪を吐いた!
れ「うわぁ!」れいは広範の吹雪を避け切れない!
魔物たちはどんどんれいを押してくる!
ヘルバトラーAは《メラゾーマ》を唱えた!れいは防戦に追われてしまう!
セ「終いだ!
《マヒャデドス》!!」
なんと奴は、《マヒャド》よりさらに上位の極大魔法を唱えた!!
ブリザードの牢獄がれいに襲い掛かる!!
れ「きゃぁぁぁぁ!!」
そのとき!
バキバキバキバキバキバキ!!
氷の牢獄は何物かに滅砕された!
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