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エピソード2

僕は、なるべくなら、「ひげマリオ」たちにダマされたくは、ナイ。

「ダマされること」も、貧乏放浪の醍醐味の一つではあるんだけれど、

もう、充分過ぎるほど経験してきたから、

ハデにダマされるようなことは、なるべくなら、避けたい。


どの「ひげマリオ」を選べばイイもんか、ちょっと迷った。

けれど、

どーせ、みんな「5ドル!5ドル!」と言っているから、

誰を選んでも大差ナイだろうと思ったし、

3ドルが相場のところを5ドル払わされたとしても、大した痛手にはならない。

僕は、相手の顔も見ず、テキトーに、

着いていく「ひげマリオ」を決めた。


彼は、僕の荷物を一つ持つと、

満面の笑みで、僕を彼の愛車に案内した。

玄関の入り口から、5分くらいも歩かされた。

カイロ空港の駐車場は広く、

それよりも更に遠いところに停まっている車も、ゴロゴロあった。


彼の「白タク」は、

白い、標準的な自家用車だった。4人乗りのヤツだ。

まぁ、車種なんてどうでもイイよ。走ってくれれば満点さ。

いつもどおり、そんな大らかな気持ちで車に乗り込んではみたけれど、

僕が後部座席に乗り込んでも、車は出発しない…


…???

それどころか、

僕の愛しい「ひげマリオ」は、

僕を置き去りにして、どこかに消えてしまった…!!


ヤツは、

5分もすると、そしらぬ顔で戻ってきた。

…見知らぬオジサンを連れて…(笑)

オジサンは、

僕の隣に座ると、軽く会釈してきた。

外国人旅行者ではなく、エジプト人のようだった。

ヤツは、更に、

空港の玄関に、客引きをしに行った。

5分ばかしもすると、

2人連れの男性客がやってきた。やはり、エジプト人のようだ。


4人乗りの乗用車に、

ガタイの大きな大人が、5人…!?


僕は、イチイチ文句を言う気にも、ならなかった。

これくらいの「コミコミプラン」は、良くあることさ(笑)



…結局、

この車に僕が乗り込んでから15分以上も待たされて、

ようやく、車は出発した(笑)


風景のことはよく覚えてナイけれど、

発展途上国でも、国際空港があるような大都市は、

日本のそれと、大して変わらないことが多いよ。

大きな2車線/4車線の道路に、

等間隔に、オレンジ色の外灯が光ってる…

まばらに樹木が茂っていて、かろうじて、酸素を保っている…


日本との違いと言えば、

「走っている車が、とんでもなくボロい」ということだろう。

3~40年前の型式と思われる車が、我が物顔で走ってるよ!

トーゼン、排気ガスがヒドい!!

発展途上国の大都市は、排気ガスでめちゃくちゃ臭い!!



それらの車の中には、

「日本人のお古」も、少なくナイんだ。

「TOYOTA」や「NISSAN」などのロゴマークを、よく見かけるよ。

彼らは、日本車がとてもお気に入りらしいのだけれど、

中でも、「SUZUKI」自動車の評判が、イイ。

彼らは、日本車のテレビ・コマーシャルなんて見ないから、

知名度やブランド性よりも、

純粋に、「性能そのもの」で、車を評価している!!


「日本人のお古」というコトバには、

もう一つのイミがあるんだ。

「勅使河原旅館」とか、「剛田建築株式会社」とか、

そんな、コテッコテの日本語ロゴが入った車を、

とっても良く、見かけるんだよ(笑)

トーゼン、

車に書かれたロゴとは全く違う業種の人が、その車を運転してるから、

日本人がハタから眺めてると、そのギャップが面白い(笑)



…こんなふうに、

発展途上国の町並みは、

都会にせよ、田舎にせよ、

ヘンなモノがそこかしこにゴロゴロしてるから、

何気ない散歩や移動時間でも、ゼンゼン楽しいんだよ♪

「バックパッカー」と呼ばれる人種は、

別に、有名な観光地に行かずとも、

こうした何気ない街角から、

たくさんの「ニヤニヤ」を、見つけ出せるヒトたちなのさ♪



『導かれし者たち』

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