とりあえず、タイムスリーって宿を探し当てる。
ガイドブックには「老舗だから安心」とか書いてある。まぁ、悪くはないよ、実際ね。
…悪くないのは、スタッフの態度のことだよ?部屋はヒドい(笑)
ざっくり言えば、廃墟みたいだよ(笑)
家具は、
ベッドにせよ机にせよ、粗大ゴミ拾ってきたようなオンボロでさ。
ベッドのシーツは、換えてんのかな?わかんない。
ここのシーツは交換されてるとおもうけど、
50m向こうにあるボロ宿は、たぶん、シーツ換えてないよ(笑)
90歳くらいのオンボロ爺さんが経営してたけど、
シーツもきっと、90年間換えてないんじゃないかな(笑)
そういうのがまかり通る町なんだよ。ここはさ。
えっと、タイムスリーの部屋のハナシに戻るけど、
シャワールームだって、絶好調にボロい。ホントに廃墟みたいだよ。
水漏れするのは当たり前だし、洗面台の陶器は汚く黒ずんでるし。
便器なんか、便座がナイ。考えられる?便座がナイんだ。
和式って意味じゃないよ?洋式だけど、壊れてんのさ。便座が取れて、ビデみたくなってる。
シャワーのお湯は、出ない。
夏は暑いから、水シャワーだけでなんとかなるけど、
冬場はスタッフに言って、お湯をわかしてもらう必要があるね。
「お湯くれ」って言えば、バケツに1杯、熱湯をわかして持ってきてくれるよ。
それを水で薄めて、人肌温度のお湯をこしらえて、
頭洗ったり体洗ったりするんだよ。
100年くらい前までは、日本もこんなカンジだったんじゃない?
まぁ、慣れちゃえばどうってことないよ。
ただし、「お湯くれ」ってお願いしても忘れられたりして、
2時間待ってもまだ来ないこととか、あるけどね(笑)
これで、1泊300ルピー取る。日本円にして600円くらいかな。
「安いじゃん」って思うかい?安くないよ(笑)
チャイ(ミルクティー)が6円の国だからね!
現地物価を日本の1/10と換算したとしても、
600円ってことは、6,000円も取ってるってことさ!
日本で、廃墟みたいなオンボロに6,000円も取ったら、どうなる!?死刑だよ(笑)
コルカタは観光地で、土地の値段がとても高いんだろうけどさ。
それにしたって、良心的な値段とは言えないさ。
「そんな宿、選ばなきゃいいのに!」って君は言うかい?
まぁその通りなんだけどさ。
でも、「おとぎの国」に憧れてんだったら、
これくらいの宿には免疫つけといたほうがイイぜ?
「おとぎの国」だって、
廃墟じゃないにしたって、秘密基地だからさ。大差ナイよ。
それに、インドっていう国に来るなら、
こういう安宿を垣間見ておいたほうがイイんじゃない?って思うね。
これこそが、「インドらしさ」だからさ。
「インドらしさ」ってのは、
タージマハルのことじゃないし、カレーのことじゃないんだよ。
こういうボロっちい宿が、
タイムマシンも発明されようかっていう21世紀になってもなお、
当たり前のようにのさばってるってのが、「インドらしさ」なのさ。
「インドに病みつきになっちゃった!」とか笑ってる君のイトコの耕太郎くん、いるでしょ?
彼が病みつきになったインドってのは、つまり、こういうカルチャーショックのことなんだよ。
『「おとぎの国」の歩き方』