top of page

エピソード2 『「おとぎの国」の歩き方』

とりあえず、タイムスリーって宿を探し当てる。

ガイドブックには「老舗だから安心」とか書いてある。まぁ、悪くはないよ、実際ね。

…悪くないのは、スタッフの態度のことだよ?部屋はヒドい(笑)

ざっくり言えば、廃墟みたいだよ(笑)

家具は、

ベッドにせよ机にせよ、粗大ゴミ拾ってきたようなオンボロでさ。

ベッドのシーツは、換えてんのかな?わかんない。

ここのシーツは交換されてるとおもうけど、

50m向こうにあるボロ宿は、たぶん、シーツ換えてないよ(笑)

90歳くらいのオンボロ爺さんが経営してたけど、

シーツもきっと、90年間換えてないんじゃないかな(笑)

そういうのがまかり通る町なんだよ。ここはさ。


えっと、タイムスリーの部屋のハナシに戻るけど、

シャワールームだって、絶好調にボロい。ホントに廃墟みたいだよ。

水漏れするのは当たり前だし、洗面台の陶器は汚く黒ずんでるし。

便器なんか、便座がナイ。考えられる?便座がナイんだ。

和式って意味じゃないよ?洋式だけど、壊れてんのさ。便座が取れて、ビデみたくなってる。

シャワーのお湯は、出ない。

夏は暑いから、水シャワーだけでなんとかなるけど、

冬場はスタッフに言って、お湯をわかしてもらう必要があるね。

「お湯くれ」って言えば、バケツに1杯、熱湯をわかして持ってきてくれるよ。

それを水で薄めて、人肌温度のお湯をこしらえて、

頭洗ったり体洗ったりするんだよ。

100年くらい前までは、日本もこんなカンジだったんじゃない?

まぁ、慣れちゃえばどうってことないよ。

ただし、「お湯くれ」ってお願いしても忘れられたりして、

2時間待ってもまだ来ないこととか、あるけどね(笑)

これで、1泊300ルピー取る。日本円にして600円くらいかな。

「安いじゃん」って思うかい?安くないよ(笑)

チャイ(ミルクティー)が6円の国だからね!

現地物価を日本の1/10と換算したとしても、

600円ってことは、6,000円も取ってるってことさ!

日本で、廃墟みたいなオンボロに6,000円も取ったら、どうなる!?死刑だよ(笑)

コルカタは観光地で、土地の値段がとても高いんだろうけどさ。

それにしたって、良心的な値段とは言えないさ。


「そんな宿、選ばなきゃいいのに!」って君は言うかい?

まぁその通りなんだけどさ。

でも、「おとぎの国」に憧れてんだったら、

これくらいの宿には免疫つけといたほうがイイぜ?

「おとぎの国」だって、

廃墟じゃないにしたって、秘密基地だからさ。大差ナイよ。

それに、インドっていう国に来るなら、

こういう安宿を垣間見ておいたほうがイイんじゃない?って思うね。

これこそが、「インドらしさ」だからさ。

「インドらしさ」ってのは、

タージマハルのことじゃないし、カレーのことじゃないんだよ。

こういうボロっちい宿が、

タイムマシンも発明されようかっていう21世紀になってもなお、

当たり前のようにのさばってるってのが、「インドらしさ」なのさ。

「インドに病みつきになっちゃった!」とか笑ってる君のイトコの耕太郎くん、いるでしょ?

彼が病みつきになったインドってのは、つまり、こういうカルチャーショックのことなんだよ。



『「おとぎの国」の歩き方』

最新記事

すべて表示
bottom of page