あと、僕は、
パワーストーンにも興味を持った。
様々なパワーストーンが、
ピラミッド型や尖塔型やタマゴ型やなんかに細工されて、腐るほど並んでるよ。
ロイヤルブルーの色をした、手のひらサイズのピラミッドを手にとって、
「コレ、何の種類の石なの?」と尋ねると、
「ラピスラズリさ♪」と、自慢げに答える。
「ハウマッチ?」と尋ねると、
「10ポンド(200円ほど)さ♪」と、自慢げに答える。
…うーむ?
ラピスラズリのカタマリが200円なら、欲しいぞ!!?
でも、日本での相場を考えると、この重さで200円は、有り得ない…
…かと言って、
日本の石屋の相場がサギなほどに高いのは、知ってる…
ラピスの原産国は、アフガニスタンだ。
エジプトからも近いし、
同じように、物価の安い(日本の1/10程度)国だ…
…すると、
200円というのも、有り得るハナシなのか…!?
…と、僕が一人で考えごとに耽っていると、
「ヨシ!
今買ってってくれるんなら、7ポンド(約140円)にマケよう!!」
と、巧みな交渉術が始まった!!
僕は、それを聞いた途端に、
「じゃぁ、買わない!じゃぁねー♪」
と言って、彼の露店を去った(笑)
…後で、
もう少しマトモな店舗を構えたお店で、
ラピス色のピラミッドについて聞いてみると、
「コレは、ラピスラズリじゃナイさ。オニキスだよ。
露店で売ってる石のほとんどは、
何色してたって、ほとんどオニキスだよ(笑)
オニキス自体、幾つかの色のものがあるが、
たいていは、ただ着色してるだけだよ(笑)
ヤツらは、
アンバーだとかトルマリンだとか、色んなコトを言うだろうが、
ぜーーーんぶ、デタラメさ(笑)
自分の目で品質の見極めができないモノは、
露店商からは、買わないほうがイイよ(笑)
眼力があるなら、掘り出しモノが見つけられるだろうがね♪」
「へー!!
じゃぁさ、ラピスのピラミッドは、幾らくくらいするの?」
「ラピスのホンモノか?
ヨシ!チョっと着いてきな♪」
と言うと、
彼は、狭い店内にある狭い階段を登って、
僕を2階の売り場に案内した。
品揃えとしては、1階のそれと大差ナイように見えたけど…
「ホンモノのラピスは、コレさ♪」
彼が見せてくれたのは、
色付けされたオニキスよりも、ややくすんだ色をしていた。
「色が汚くナイ!?」僕は尋ねる。
「うーん、そうかもしれんが、
コイツがラピスだよ♪」
「ホンモノは、幾らするの?」
「グラム数によって、ガラっと変わるぞ?」
彼は、ピラミッドの裏側のシールを見た。
「…うん。
コイツは、200グラム弱だから、200ドルだな。
それ以上は、ディスカウントしねぇよ。
コッチの、もう少し小さいヤツは…
140グラムだから、140ドルだな。
どうだい?」
「そっかぁ。アリガトウ。
僕、明日で帰国だから、
オニキスを買うくらいのお金しか、持ってナイよ(笑)」
とウソを言って、早々に店を退散してきた(笑)
彼は、かなり良心的な商売人だったと言えるよ。
ウソを付かなかったし、
最初から底値を提示してくれたからねぇ♪
それに、ちゃんとした商品知識も持っていたね♪」
エジプトで土産物を買うのは、
ホントーーーーーーに難しい!!
露店商たち3人に、同じ質問をぶつけても、
全く違う答えが返ってくるからねぇ(笑)
誰の言うことを信用してイイんだか、さっぱりワカランさ(笑)
かと言って、
店を構えてるヒトだからって、誠実なワケじゃないし、さ?
ハーン・ハリーリを何時間も歩き周って、品定めしてきた2人が、
同じようなパピルス・アートを、
30ドルで購入してたり、30ポンド(約6ドル)で購入してたり、する…
同じようなジャンベを、
150ポンドで購入してたり、75ポンドで購入してたり、する…
買い物のコツは、
旅の最後に、残った現地マネーを使い切るために土産モノを買うか、
自分がその値段で納得したと感じたなら、
他の店主や他の旅行者には、値段を聞かないことさ(笑)
ハーンハリーリに限らず、世界各地・日本各地の土産物屋街のような場所には、
うざったいくらいにたくさんの店が、軒を連ねているだろう?
同じような、個性の無い店がたくさん、さ。
中には、たいして客の寄り付かない店もたくさんあって、
それなのに潰れずに営業し続けてる。
なんでだとおもう?
「観光地化する前からその土地を持ってて、テナント代がかかってないから」
なんて理由であることも、まぁあるだろうけど、
基本的に土産物屋なんてのはさ、
ジャンベが日に1つか2つも売れたら、それで儲かる仕組みになってるんだよ。
「ボッタクリ」っていうことさ。
土産物ってのは何にせよ、ヤクザな商売なんだよ。
エッフェル塔のシルエットやKYOTOの文字をプリントするだけで、3倍の値段を付ける。
土産物屋で300円で売ってるキーホルダーは、違う絵柄で100円ショップに売ってるよ(笑)
600円のクッキーは、スーパーに行きゃ200円で売ってるさ。
それがジャンベみたいな相場のよくわかんないモノにもなると、
3倍どころか5倍も10倍もの定価を付けて、
「当店は安心価格です」なんて、上品な店でもえげつない値段付けるんだよ。
『導かれし者たち』