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エピソード40

あと、僕は、

パワーストーンにも興味を持った。

様々なパワーストーンが、

ピラミッド型や尖塔型やタマゴ型やなんかに細工されて、腐るほど並んでるよ。

ロイヤルブルーの色をした、手のひらサイズのピラミッドを手にとって、

「コレ、何の種類の石なの?」と尋ねると、

「ラピスラズリさ♪」と、自慢げに答える。

「ハウマッチ?」と尋ねると、

「10ポンド(200円ほど)さ♪」と、自慢げに答える。


…うーむ?

ラピスラズリのカタマリが200円なら、欲しいぞ!!?

でも、日本での相場を考えると、この重さで200円は、有り得ない…

…かと言って、

日本の石屋の相場がサギなほどに高いのは、知ってる…

ラピスの原産国は、アフガニスタンだ。

エジプトからも近いし、

同じように、物価の安い(日本の1/10程度)国だ…

…すると、

200円というのも、有り得るハナシなのか…!?


…と、僕が一人で考えごとに耽っていると、

「ヨシ!

 今買ってってくれるんなら、7ポンド(約140円)にマケよう!!」

と、巧みな交渉術が始まった!!

僕は、それを聞いた途端に、

「じゃぁ、買わない!じゃぁねー♪」

と言って、彼の露店を去った(笑)


…後で、

もう少しマトモな店舗を構えたお店で、

ラピス色のピラミッドについて聞いてみると、

「コレは、ラピスラズリじゃナイさ。オニキスだよ。

 露店で売ってる石のほとんどは、

 何色してたって、ほとんどオニキスだよ(笑)

 オニキス自体、幾つかの色のものがあるが、

 たいていは、ただ着色してるだけだよ(笑)

 ヤツらは、

 アンバーだとかトルマリンだとか、色んなコトを言うだろうが、

 ぜーーーんぶ、デタラメさ(笑)

 自分の目で品質の見極めができないモノは、

 露店商からは、買わないほうがイイよ(笑)

 眼力があるなら、掘り出しモノが見つけられるだろうがね♪」

「へー!!

 じゃぁさ、ラピスのピラミッドは、幾らくくらいするの?」

「ラピスのホンモノか?

 ヨシ!チョっと着いてきな♪」

と言うと、

彼は、狭い店内にある狭い階段を登って、

僕を2階の売り場に案内した。

品揃えとしては、1階のそれと大差ナイように見えたけど…

「ホンモノのラピスは、コレさ♪」

彼が見せてくれたのは、

色付けされたオニキスよりも、ややくすんだ色をしていた。

「色が汚くナイ!?」僕は尋ねる。

「うーん、そうかもしれんが、

 コイツがラピスだよ♪」

「ホンモノは、幾らするの?」

「グラム数によって、ガラっと変わるぞ?」

彼は、ピラミッドの裏側のシールを見た。

「…うん。

 コイツは、200グラム弱だから、200ドルだな。

 それ以上は、ディスカウントしねぇよ。

 コッチの、もう少し小さいヤツは…

 140グラムだから、140ドルだな。

 どうだい?」

「そっかぁ。アリガトウ。

 僕、明日で帰国だから、

 オニキスを買うくらいのお金しか、持ってナイよ(笑)」

とウソを言って、早々に店を退散してきた(笑)

彼は、かなり良心的な商売人だったと言えるよ。

ウソを付かなかったし、

最初から底値を提示してくれたからねぇ♪

それに、ちゃんとした商品知識も持っていたね♪」



エジプトで土産物を買うのは、

ホントーーーーーーに難しい!!

露店商たち3人に、同じ質問をぶつけても、

全く違う答えが返ってくるからねぇ(笑)

誰の言うことを信用してイイんだか、さっぱりワカランさ(笑)

かと言って、

店を構えてるヒトだからって、誠実なワケじゃないし、さ?

ハーン・ハリーリを何時間も歩き周って、品定めしてきた2人が、

同じようなパピルス・アートを、

30ドルで購入してたり、30ポンド(約6ドル)で購入してたり、する…

同じようなジャンベを、

150ポンドで購入してたり、75ポンドで購入してたり、する…

買い物のコツは、

旅の最後に、残った現地マネーを使い切るために土産モノを買うか、

自分がその値段で納得したと感じたなら、

他の店主や他の旅行者には、値段を聞かないことさ(笑)


ハーンハリーリに限らず、世界各地・日本各地の土産物屋街のような場所には、

うざったいくらいにたくさんの店が、軒を連ねているだろう?

同じような、個性の無い店がたくさん、さ。

中には、たいして客の寄り付かない店もたくさんあって、

それなのに潰れずに営業し続けてる。

なんでだとおもう?

「観光地化する前からその土地を持ってて、テナント代がかかってないから」

なんて理由であることも、まぁあるだろうけど、

基本的に土産物屋なんてのはさ、

ジャンベが日に1つか2つも売れたら、それで儲かる仕組みになってるんだよ。

「ボッタクリ」っていうことさ。

土産物ってのは何にせよ、ヤクザな商売なんだよ。

エッフェル塔のシルエットやKYOTOの文字をプリントするだけで、3倍の値段を付ける。

土産物屋で300円で売ってるキーホルダーは、違う絵柄で100円ショップに売ってるよ(笑)

600円のクッキーは、スーパーに行きゃ200円で売ってるさ。

それがジャンベみたいな相場のよくわかんないモノにもなると、

3倍どころか5倍も10倍もの定価を付けて、

「当店は安心価格です」なんて、上品な店でもえげつない値段付けるんだよ。



『導かれし者たち』

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