開演は、夜の8時だったね。20時だよ。
だから、19時にもなると、
そろそろコンサート会場に向かう準備を始めた。
まずは、会場を探さなくちゃならなかった。
ガイドブックには、「マサドラ」という場所で、
そのコンサートが行われると、書いてある…
マサドラって、何だ??
「マンション」みたいな、建築形態の名前なのか、
「ホワイト・ハウス」みたいな、固有名詞なのか??
また、「聞き込み作戦」で場所を絞り込むんだけれど、
どうにも、ジモティーたちの言うことが、一定しない…
「最近場所が変わっちゃったから、向こうのほうじゃない?」
とか何とか、言うヒトも居るし…
どうもヤツらは、「知らない」ってコトバを知らないらしいよ(笑)
尋ねられた事柄を知らないなら、「知らない」って答えればいいのに、
とにかく何かしら、答えておきたいらしい。知ったかぶるんだよ。
真面目な顔して、インテリぶって、テキトーなこと言うのさ。
エジプトに限らず、
「田舎の国の都会のほう」には、こういう人、多いよ。
朝から晩まで嘘ついて、盆から暮れまで虚勢張ってないと、
生きてらんないんだろうな、きっと。
だから、こういう街では、
とにかくたくさんの人に聞き込みしなくちゃなんないよ。
同じこと言う人が3人居たら、ようやく信憑性があるってモンさ。
場所を突き止めるのに30分もかかっちゃったもんだから、
夕食は、サンドイッチみたいな軽食を買って、カンタンに済ませることにした。
僕は、早いうちからスタンバイしてたから、
かなりイイ席に座ることが出来た♪
ユミさんとは出会えなかったけれど、念のため、彼女の席も取っておいた。
彼女は、上手く僕を見つけ、
20時15分頃に、席で合流出来た。
コンサート自体は、
20時半頃、ようやく開催された(笑)
「…またそんな、テキトーな連中がやってんのかぁ…」
とヒジを付いて落胆してたら、
そうじゃなかった!!!
このコンサートは、
まず、音楽からスタートするんだ。
エスニックな笛やパーカッション、弦楽器のヒトたちが、
次々と、小出しに、出て来ては奏でる。
そして、だんだんと奏者の数が増えていき、
30分後には、盛大な大合奏となる!!
…コレが、
ものスンゴい、レベルが高いのさ!!!
僕は、学生時代に6年間ほどクラシックに携わっていたし、
その後も様々なジャンルの音楽に触れてきたから、
奏者としては二流でも、耳は肥えてるさ!
いったいぜんたい、
全世界から精鋭を選りすぐってきたんじゃないかってくらい、
レベルが高いのさ!!!
個人個人のレベルが、妥協ナシに高くて、
アドリブをカッコ良く決める自己主張力があるんだけど、
みんなで合奏する段になると、
自己主張はコッテリ影を潜めて、
バツグンなハーモニーを奏で、カンペキに調和するのさ!!!
…それが、
入場無料で楽しめちゃうんだよ…!!??
僕は、てっきり、
演奏終了後に「ひげマリオ」たちがCDを強引に売りつけてきたり、
「遠まわしな、強制的チップ」を払わされるモンだろうと、勘ぐったよ。
…でも、
そういうのは、一切ナイんだ!!
じゃぁ、
誰か協賛者の名前の入った横断幕でも掲げられてんのかと言ったら、
そういうのも、一切ナイんだ!!
「うっとおしい金魚のフン」を一切くっつけずに、
世界最高峰のショーが、提供されているんだよ!!!
…しかも!
このショーを上演している「マサドラ」という建物は、
中世のイスラム・ゴシック建築物で、保存状態もバツグンに良くて、
建物の内装を眺めてるだけでも、ウットリしちゃうくらいなのさ♪
…お客が密集しちゃうと、
建物の美しさを堪能するのが難しくなっちゃうから、
建物にも興味があるヒトは、早めにスタンバイしたほうが、イイね♪
ちなみに、コンサートは、
毎週水曜と土曜かなんかに、開催されてるんだよ。
変更や中止があるかもしんないから、
ガイドブックとか、最新の情報を参照して欲しいけどさ。
…で、
演奏家たちの演奏が最高潮に達したときに、
…そこで終わっちゃうんじゃなくて、
今度は、ダンサーたちが登場するんだ!!
とにかく、このダンサーたちは、
フィギュア・スケートのスピンみたいに、
くるくるくるくると、永遠に回り続ける(笑)
…それ自体が、美しいか?カッコイイか?
と問われれば、ややギモンが残るところなんだけど、
彼らはやがて、ハデなスカートみたいなのをまとって、回り始める。
すると、その衣装が、彼らのハイスピードな回転によって、
美しく精彩を放ちだすのさ♪
彼らのこの、「グルグル・ダンス」は、
トルコの名物である、「セーマ」という伝統舞踊とよく似てる。
同じイスラム圏だから、ルーツは同じなんだろうなぁ。
…とにかく、
カイロに滞在するなら、
一回、このコンサートを観てみることを、オススメするよ♪
『導かれし者たち』