大コウフンのうちに鑑賞を終えると、
僕らはとっとと、タフリール広場に戻った。
そして、
僕はそのまま、夜行列車に乗って、
死海近郊のビーチタウン「ダハブ」に向かった。
…そういえば、
エジプト滞在が佳境に入るにつれて、
「イスラエルが面白い!」「イスラエルに行ってみな!」
という声を、旅人たちからやたらと聞かされるようになった。
イスラエル…??
イスラエルは、
エジプトの「ギリギリ隣」と言えるような、絶妙な位置関係にある、中東の国さ。
大雑把に言えば、
死海という大きな湖を挟んだ、その向かい側にあるのだけれど、
ごく僅かな部分だけが、陸続きで繋がっているんだよ。
そのため、
ダハブには、イスラエルとエジプトを行き来する旅人の姿も、
割かし多く、見受けられるんだ。
でも、僕は、
この時は、イスラエルに行くつもりは、サッパリ無かった。
僕にとってダハブは、
「シナイ山」に登るための、経由地点でしか無かったのさ。
そして、
ダハブの本来的な姿というのは、
「ダイビング・スポット」という、ダイバーたちの楽園なんだ。
…いや!チョっと訂正。
ダハブの海は、そんなにキレイではナイから、
「ダイビングをしたいヒト」は、そんなに寄り付かない。
ダハブは、
「エジプトの物価の安さを踏襲したビーチ」
ということが、最大の魅力なんだ。
だから、「ダイバー」が訪れるというよりも、
「ダイバー志望者」が、多く訪れるんだよ。
ダイビング・ライセンスが、安い値段で取れるからさ♪
『導かれし者たち』