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エピソード43

大コウフンのうちに鑑賞を終えると、

僕らはとっとと、タフリール広場に戻った。

そして、

僕はそのまま、夜行列車に乗って、

死海近郊のビーチタウン「ダハブ」に向かった。



…そういえば、

エジプト滞在が佳境に入るにつれて、

「イスラエルが面白い!」「イスラエルに行ってみな!」

という声を、旅人たちからやたらと聞かされるようになった。


イスラエル…??


イスラエルは、

エジプトの「ギリギリ隣」と言えるような、絶妙な位置関係にある、中東の国さ。

大雑把に言えば、

死海という大きな湖を挟んだ、その向かい側にあるのだけれど、

ごく僅かな部分だけが、陸続きで繋がっているんだよ。

そのため、

ダハブには、イスラエルとエジプトを行き来する旅人の姿も、

割かし多く、見受けられるんだ。


でも、僕は、

この時は、イスラエルに行くつもりは、サッパリ無かった。

僕にとってダハブは、

「シナイ山」に登るための、経由地点でしか無かったのさ。

そして、

ダハブの本来的な姿というのは、

「ダイビング・スポット」という、ダイバーたちの楽園なんだ。


…いや!チョっと訂正。

ダハブの海は、そんなにキレイではナイから、

「ダイビングをしたいヒト」は、そんなに寄り付かない。

ダハブは、

「エジプトの物価の安さを踏襲したビーチ」

ということが、最大の魅力なんだ。

だから、「ダイバー」が訪れるというよりも、

「ダイバー志望者」が、多く訪れるんだよ。

ダイビング・ライセンスが、安い値段で取れるからさ♪



『導かれし者たち』

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