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エピソード46

どうにかこうにか時間を潰して、

夜の8時頃、シナイ山行きのツアー・バスに乗り込んだ。


…「シナイ山」って名前、

どっかで聞き覚え、ナイ?

旧約聖書や、おそらく社会の教科書にも出てくるよ。

エジプトの奴隷生活から逃げ出してきたイスラエルの民が、

逃げるために通った山だよね。

彼らを率いた預言者モーセが、神なる存在から十戒を授かった場所だと、

言われているね。

僕は、シナイ山がどんなトコなのか、

チョっとばかし、興味があったのさ。


このシナイ山ツアーは、

厳密には、「サンライズ・ツアー」なんだ。

すると、

真夜中に登り始めて、

朝陽が登る前に、人間が頂上に登ってる必要が、あるんだよ(笑)

ダハブから催行しているモノには、

サイライズ・ツアーの他にサンセット・ツアーもあったのだけれど、

僕はなぜか、サンライズのほうを選んでいたよ。

「なぜか」だよホント。

別に朝陽に興味があったわけでもなく、なんとなしに選んでたね。

なんとなしに選んだことを、

僕はやがて、えらく後悔することになる!!

なぜって?

めちゃくちゃ過酷だからさ!!

なにしろ、真っ暗闇の中での登山だからね!!!

一応、ツアー・ガイドなるヒトが、付いてはいるのだけれど、

バスが麓に到着して、旅行者一行が登山口に達してしまうと、

もう引率もクソもナイ (笑)

ツアーガイドはおろか、同じバスの同行者ともはぐれて、

一人でテキトーに登らなきゃならないんだよ!


ライトを持参している人たちは、

それぞれに足元を照らしているけれど、

僕は、ライトを持ってなかった(笑)

…僕は、海外放浪の際に、

何度か山登りをしたことがあるんだけれど、

いつも、特別な装備を何にも持ってナイんだ(笑)

山をナメてんだよ(笑)

…で、こっぴどく返り討ちを喰らうんだ!!(笑)

でも、

返り討ちを喰らっても、生き延びられるコトはわかっちゃったから、

また何の装備も持たずに、テキトーに登山を敢行しちゃうんだ(笑)

サンライズを拝む極寒の中を、

防寒具と言える上着すら持たず、毛布も持たず、

しかも、

7分丈のスカスカのパンツに、サンダル穿きだ(笑)

道行く西洋人たちに、「おぉ、クレイジー!!」

って、何度言われたか、ワカンナイよ(笑)


僕、寒いのはニガテなんだけどさぁ、

こういう「極限的な寒さ」になると、

なぜか、逆に、

お粗末な格好でもなんとかなっちゃうモンなんだよ(笑)風邪ひかないんだ。

それに、

1万5千円も出してトレッキング・シューズを買ったりしなくても、

くるぶし留められるタイプであれば、

1,980円のサンダルでも、山登りって出来ちゃうモンなんだ!

一度、しっかりしたトレッキング・シューズを穿いて挑んだことがあるけど、

むしろサンダルの「ほうが」、ずーーーっと登り易かったよ(笑)

みーーーーんな、クツ屋にダマされてんのさ(笑)

…サンダルじゃなくてもイイけど、

かと言って、

トレッキング・シューズなんてのは、余計な長物なんだ(笑)



…さて、

この時も僕、「真夜中の出発だ」って解ってんのに、

薄手のジャンパーにジーンズ、ハダシにサンダル。

ライトもナイし、軍手もナイ。

カバンを持ってきてナイから、水も食料もナイ。

さぁて、

今回も、どうにかなるんだろうか…?

僕の運命やいかに…!?



『導かれし者たち』


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