トルコの中部にある、
ネムルトダーウの山頂を目指して、やってきた。
この山へは、
麓の町から、ツアーに参加するしかナイんだ。
ツアーは、山腹の宿で一泊して、
早朝のサンライズに備える…
ツアー・バスは、
昼過ぎにはもう、宿に着いちゃう。
夕方に一度、山頂の観光に行くけれど、
それまでにはまだ、かなり時間があった。
ほとんどの旅行者たちは、
宿の中でのんびりしているけれど、
僕はいつも通り、
ギターとカメラを抱えて、近場を散歩することにしたよ。
…おや?
山肌に、誰か居る!!
近寄ってみると、
数人の女性たちが、何やら野良仕事をしていたよ。
「旅人なんて、珍しいわねぇ?」
と言うわりに、
大人の女性たちは、警戒心が薄かった。
都市の成人女性たちは、こんなにあどけなく笑ったりは、しないなぁ。
山腹の彼女たちも、ムスリム特有のほおっかむりをしてたけど、
価値観やモラルが、ずいぶん違うのかもしれないよ。
大人の2人は、
割りと器用に、英語を操った。
山で暮らしていても、
学校にはきちんと、通っているのかもしれない。
はたまた、
暮らしの中で、自然と覚えてしまうのかもしれない。
彼女たちは、
なにやら、草をたくさん束ねては、ぐるぐる巻きにしていたよ。
こんな風景、見たことナイなぁ。
この山でも、やっぱり、
チカラ仕事をするのは、女性の役割だった。
少しやらせてもらったけれど、
かなりチカラの要る作業だったさ。
彼女たちは、涼しい顔で、
淡々と、それをこなしていく。
馴れてしまえば、なんでもかんでも、容易になる。
馴れるまで頑張るか、すぐに弱音を吐くか、
その2択があるだけなんだ。
金メダリストを目指さないなら、
誰にだって、何だって、出来ちゃうのさ♪
僕は、彼女たちから少し離れて、
草原の真ん中で、ギターを取り出した。
僕が気持ち良さそうに歌っていると、
彼女たちは、仕事を中断して、僕のところへやってきた。
ギターに、興味を示したようだった。
一人ひとりが、ギターを抱えて、
思い思いに、爪弾いていた。
珍しいモノを持つ環境にある人は、
それを見せびらかして自慢したり、 見世物にして高い金を取るのが、
役割なんかじゃ、ナイんだよ?
それらに馴染みのないヒトたちに、
報酬なんぞ考えないで、快くシェアしてあげるコトなのさ♪
それが、豊かな国に生まれた僕らの、
使命であり、役割なんだぜ?
キミは、何か珍しいモノを手にしたら、
「コレでいかにお金を稼ごうか…」
なんて、すぐに考えてしまったり、していないかい?
『トルコで見つけたドラゴンボール』