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エピソード52 『トルコで見つけたドラゴンボール』

トルコの中部にある、

ネムルトダーウの山頂を目指して、やってきた。


この山へは、

麓の町から、ツアーに参加するしかナイんだ。

ツアーは、山腹の宿で一泊して、

早朝のサンライズに備える…



ツアー・バスは、

昼過ぎにはもう、宿に着いちゃう。

夕方に一度、山頂の観光に行くけれど、

それまでにはまだ、かなり時間があった。


ほとんどの旅行者たちは、

宿の中でのんびりしているけれど、

僕はいつも通り、

ギターとカメラを抱えて、近場を散歩することにしたよ。



…おや?

山肌に、誰か居る!!


近寄ってみると、

数人の女性たちが、何やら野良仕事をしていたよ。



「旅人なんて、珍しいわねぇ?」

と言うわりに、

大人の女性たちは、警戒心が薄かった。

都市の成人女性たちは、こんなにあどけなく笑ったりは、しないなぁ。

山腹の彼女たちも、ムスリム特有のほおっかむりをしてたけど、

価値観やモラルが、ずいぶん違うのかもしれないよ。


大人の2人は、

割りと器用に、英語を操った。

山で暮らしていても、

学校にはきちんと、通っているのかもしれない。

はたまた、

暮らしの中で、自然と覚えてしまうのかもしれない。



彼女たちは、

なにやら、草をたくさん束ねては、ぐるぐる巻きにしていたよ。

こんな風景、見たことナイなぁ。


この山でも、やっぱり、

チカラ仕事をするのは、女性の役割だった。


少しやらせてもらったけれど、

かなりチカラの要る作業だったさ。


彼女たちは、涼しい顔で、

淡々と、それをこなしていく。


馴れてしまえば、なんでもかんでも、容易になる。

馴れるまで頑張るか、すぐに弱音を吐くか、

その2択があるだけなんだ。

金メダリストを目指さないなら、

誰にだって、何だって、出来ちゃうのさ♪



僕は、彼女たちから少し離れて、

草原の真ん中で、ギターを取り出した。


僕が気持ち良さそうに歌っていると、

彼女たちは、仕事を中断して、僕のところへやってきた。

ギターに、興味を示したようだった。


一人ひとりが、ギターを抱えて、

思い思いに、爪弾いていた。



珍しいモノを持つ環境にある人は、

それを見せびらかして自慢したり、 見世物にして高い金を取るのが、

役割なんかじゃ、ナイんだよ?


それらに馴染みのないヒトたちに、

報酬なんぞ考えないで、快くシェアしてあげるコトなのさ♪


それが、豊かな国に生まれた僕らの、

使命であり、役割なんだぜ?



キミは、何か珍しいモノを手にしたら、

「コレでいかにお金を稼ごうか…」

なんて、すぐに考えてしまったり、していないかい?


『トルコで見つけたドラゴンボール』

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