エピソード66
人目の付かない林まで駆けると、赤ヒゲの男はくるっとこっちを向き直った。
赤「邪魔するお前が悪いんだぞ?」短くそう言うと・・・
木の上から、巨体の何者かがドスンと飛び降りてきた!
?「ぐへへへへ、なんだ子供か!
大した暇つぶしにもならんわい」
赤「奴を凝らしめてくれ。俺に敵対した」
?「良かろう良かろう。
ぐへへへへへ!」
カバリアーがあらわれた!!
大きなオノを持った醜いカバの怪物だ!
ア「ぐ・・・。デカいな!」
カバリアーはアミンの様子をじろっと見た。戦闘能力を推察しているようだ。
そして一喝!「ガ――――!!」
ドシ―――――ン!!大きなオノで力任せに大地を殴りつけた!
カ「小僧、そのオノでかかってこい!」
ア「の、のぞむところだ!」アミンは腰のムチではなく、新たに手に入れた《バトルアックス》を構えた。アミンもこのオノの威力を存分に試したいと思っていたところだった。
アミンのこうげき!
アミンは《バトルアックス》を大きく振りかぶり、カバリアーに飛び込んでいった!
しかし!
相手の間合いに入る前に、カバリアーが大きなオノを振り下ろす!
ア「うわっち!」アミンはギリギリ身をかわした!
アミンは斜め後ろに飛び下がった。
体勢を立て直すと、再び大きく振りかぶってカバリアーに突撃!
しかしまた、アミンのリーチが届く前にカバリアーがオノを振り下ろした!
ア「うわぁ!」
アミンは三度試すが、同じことの繰り返しにしかならないのだった!
カ「ぶいぃぃぃ!《スクルト》!」なんと、カバリアーの守備力が上がった!
カ「オレは慎重なんだ。インテリだからな!」似合わぬ顔で言い放った。
アミンは動揺し、やぶれかぶれになってオノを水平に構えて突進した!
カバリアーは大きくジャンプしてかわし、そのままアミンのオノを踏みつけた!
ア「うぎゃぁ!」
カ「オレは木じゃねぇっつうの。
無暗に血を流すなって言われてんだが、やっぱりオノで粉砕したいもんだ!」
カバリアーは自慢のオノをゆっくり大きく振りかぶった!
ア「まずい・・・!!」
そのとき!
「《ヒャド》ぉ!!」
氷の刃がカバリアーの右手を襲った!魔物のオノは手と一緒に凍り付いてしまった!
カ「なに!?」
「もぉ~
アミンたらおバカさん!」
現れたのはキキだ!
ア「だってぇ。仲間を呼んでる暇もなかったんだ!」
キ「そうじゃないわよ。
オノに対してオノで戦ったことが、おバカさん」
ア「え?」
遅れて駆け付けたななとゆなが、アミンを踏んづけるカバリアーの足元にタックル!アミンの体は自由になった!カバリアーはすっころんだ!
キキは続けてアミンに言った。
キ「相手の挑発に乗ってはダメ。
相手がオノを構えたからってオノで競おうとしてはダメ。
スポーツならそれでいいけど、生死のかかった戦いで戦法にこだわるのは、単なるエゴよ!」
ア「はっ!」
得意のオノで打ち勝ちたい思いと、手に入れたばかりの武器の本領を試したい思い、どちらもキキに見透かされているのだと気づいた。
キ「4人で仲良く倒しましょ♪」
アミンはすぐに冷静さを取り戻し、腰のムチを手に取る。
ア「えぇぇーい!」遠巻きにカバリアーに振りかかった!カバリアーの体はグルグル巻きに締め付けられた!
ア「今だ!」
ゆなとななはカバリアーの頭部めがけて《ヒャド》を放った!
カバリアーをやっつけた!