エピソード81
ロマリアの街をさらに歩く。
大きな街ならではの利点は何だろうか?
そうだ。大きな街なら本屋や図書館があるかもしれない。町の人に聞きながらうろつくと、路地裏に小さな古本屋を見つけた。インテリそうな眼鏡の男性が、本を読みながら寡黙に店番をしている。
れいは本棚を見渡す。一通り、様々なジャンルの本が並んでいる。
れいは思い切って提案してみた。
れ「あのう。私が持っているこの本と、お店の本とどれか一冊、交換してはもらえませんか?」
店「交換だって?
うーん。
いいだろう。いや、ものによるな。欲しい本を選んでみたまえ」
れいは魔法関連の本棚から『高度な魔法』という本を選んで手に取った。ペラペラとめくる。うん。今の本の続きのような内容だ。
れ「これは?」
店「うーん。
まぁいいよ。持っていきたまえ」
れ「ありがとうございます!」
色々と旅の立ち回りが上手くなってきた。お人好しで控えめなだけのれいではない。
夜は、賑わう通りの食堂でこってりしたものを食べた。
かなり騒がしい店だったが、意図して選んだのだ。
食事をしながら、隅のテーブルから人々を観察していた。
冒険者の姿がそれなりにある。鎧や法衣を来た男女が、大きな声でしゃべりながら酒を呑んでいる。
隣のテーブルにも冒険者が座った。男ばかり4人のパーティだ。
隣のれいが剣を持った冒険者であることに、勇者っぽいなりの男が気づいた。そして声をかけてくる。
れ「間に合っています」
男「そうツンツンしないでくれよ。
ナンパが嫌なことは察している。そういう男から身を守るために声をかけてやってるつもりさ」
れ「うん?」ややこしいことを言う。新手のナンパか?
男「女が欲しいならぱふぱふ屋に行きゃいいんだ。パーティに加えるべきじゃないよ」
女がいると色恋沙汰になって面倒なもんさ。下心のある冒険者は、上級者にはなれない」
れ「へぇ」
男「近年はオペラが勇者たちの冒険を描き、色恋を描いたりする影響でさ、キザな戦士なんかも増えたけど、そういうのは二流で終わるよ。まぁどうでもいいけどさ」
れ「はぁ」
男「女ひとりで冒険なんてすごいよ。
旅の無事を祈る!」
れ「どうも」
悪い人ではなかったようだ。勇者はムードメーカーとセレンが言っていたが、こういうようなことだろうか。
2~3日ゆっくりしたら、れいはもうロマリアを発つことにした。
さらに北に行くともう1つ城があるという。何やらそこを目指す冒険者もちらほらいるようで、何か面白いものか、差し伸べる手を待つ事件があるのだろう。
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