第45章 やいばのよろい
翌日、二人は合流し、互いの成果を見せ合った。
リ「アタシが得た報酬は、なんだかガラクタばっかりだったわ(汗)」
マ「わたしもヘンなのしかなかったよぉ。
見てこれ!《やばいのよろい》だって!
きっとこれ装備したらやばいことが起きちゃうんだよ!!しかも可愛くないし(汗)」
リ「きゃはははは!
《やばいのよろい》じゃなくて《やいばのよろい》よ!
物理ダメージを受けたときにその何割かを跳ね返してくれる、結構スゴイ鎧よコレ♪」
マ「えぇーそうなの!?」
リ「しかも、《かばう》が特技のアンタに相性ピッタシじゃない♪
アンタしばらく、これ装備していきなさいよ!」
マ「えぇー!!可愛くないよぉ(泣)」
しかし着せられてしまうのであった。
リ「そんで?他には?」
マ「《雨乞い》っていうヘンなスキル覚えた(汗)」
リ「《雨乞い》?何なのよ?それ」
マ「わかんないぃ。」
リ「ちょっとそれ、試しに使ってみましょうよ!すごい効果あるかも?癒しの雨が降ってくるとか!」
マ「え、すごーい!やってみよう♪」
二人は村の外へと出た。
少々徘徊すると、モンスターが現れた!
《わらいぐさ》が3匹現れた!
リ「あんまり強くはなさそうね! まずは1匹減らしとくわ!」
リオは《通り魔》で先制攻撃!《わらいぐさ》Aをやっつけた!
り「さぁアンタのその新スキル、使ってみて!」
マ「う、うん!《雨乞い》!!」
マナは両手のひらを合わせて、凛々しく天に乞いるようなポーズをとった。
空に雨雲が少し増えた!
マ「え?(汗)」
リ「は??(汗)」
マ「えっとぉ…」
リ「くだらないスキルだったようね(汗)
ドラクエって時々、意味のないアイテムやスキルがあったりするのよねぇ」
マ「うぅ…」
リ「気を取り直して!次はそれよ!」
リオはマナの装備したいかつい鎧を指さした。
「は、はいぃぃ。」
《わらいぐさ》が長い蔓でマナを攻撃してきた!
マナは23のダメージ!《やいばのよろい》の反射ダメージで、《わらいぐさ》は8のダメージ!
リ「おぉ、褒めていいのかよくわからないわ!」
リオは、「鳥を飼っている」らしいもう1つの村の話をした。
他にあてもない二人は、その村に行ってみることにした。
武器屋の親父によれば、それは北東のほうにあるらしい。
…勇ましく新天地へ向かおうと思ったものの、やはり新階層。《わらいぐさ》以外の敵はなかなか強い!この先にダンジョンやボスなど待ち構えているであろうことを想定すると、レベル上げが必要だと思われた。
二人はカボチ村の周辺で、しばしレベル上げに勤しんだ。
レベルが2つ上がり、そして《スクルト》と《マジックバリア》を覚えた。《スクルト》は仲間全体のしゅび力を上げる呪文。
《マジックバリア》は仲間全体の呪文ダメージを軽減する呪文だ。
リ「よし。出発の前に宿屋で回復していきましょ」
二人はカボチ村の宿屋へ向かった。
村の素朴な宿屋で、一人の吟遊詩人と出会った。
吟「僕は旅の吟遊詩人です。いえ、これから旅立とうと思っているのです。
こんな小さな村に生まれた僕は、広い世界を知りたい。
でも…ははは。周りの敵が強すぎて、北の村にすら行けないんですよ!
いやぁ、情けないもんです。
芸術だけじゃなくて、運動もしておけばよかったなぁ」
マ「へぇ!がんばってくださいね♪」
リ「やっぱり北に村はあるのね。
鳥を飼ってるかまでは定かじゃないけど」
二人は村を出た。少々強いモンスターたちを薙ぎ払いながら、北東を目指していく。
ときには《スクルト》や《マジックバリア》で防御力を高めながら戦った。こちらも強くなって、だんだん絡め手が増えてきたもんだ。「ドラクエやってるなぁ♪」とリオは思った。
緑の少ない、荒涼とした大地だった。少し寂し気な感じもする。これもまた旅が終盤に差し掛かっていることを感じさせるものだった。呑気にニコニコしていられる時間は減っていくものだが、しかしそうでない喜びや感慨も増えていく。そうして人は、旅の円熟の魅力を知るのだ。
夜を超えてなおも歩くと、やがて村は発見された。村か町か、定義はよくわからない。
『僧侶だけで魔王を倒すには?』