第6章 かばう
ゲームからログアウトしたマナは、リオが参戦できなかった事情をLINEにて伺い知った。
しかしマンションのインターネット障害はその日のうちに無事復旧したので、夕飯のあと、二人はまたゲームをプレイすることにした。
リ「やっと遊びにこれたよー!
よぉーし昼間のぶんも取り戻すぞー!」
マ「よぉーし、次なるどっかへレッツゴー!」
リ「そういえば、アンタ昼間は何を攻略したの?」
マ「あ、えっとねぇ…。
西に行ったら《まほうつかい》の《メラ》で黒焦げにされちゃったから、町に帰ってきちゃったぁ~」
リ「だから言ったでしょもう!大体察しがつくわよ。
でもしばらくドラクエやってたみたいだけど?」
マ「うん。町の中でクエストやってたよ。
おつかいしたらご褒美もらえたりするヤツだよ」
リ「なるほどね。それなら安全だわ。
それで、何か戦利品や情報はゲットできたわけ?」
マ「んーと、えっと…
《ステテコパンツ》とガラクタの指輪と…」
リ「何よそれ!たまにはヘンなもの掴まされるのはお約束として、ハズレクジ引く確率が高すぎて感心するわ!」
マ「あ、でもね、《やくそう》がいっぱい手に入ったんだよ♪
これは役に立つでしょ?リオのMPが切れてもHP回復できるよ~。
…あれ!?」マナはコマンドを開いて持ち物を確認するが…
マ「《やくそう》、5個しかない…(泣) えー!?もっといっぱい手に入れたはずなのに!何度も往復したんだよ!」
リ「ははーん。『所持数制限』ってヤツね。
回復アイテムとかって、一度に持てる数が決まってることあんのよ。5個とか10個とか」
マ「そうなのー!?」
リ「とりあえず、今のアタシたちのレベルや階層の段階では、5個までなんでしょうね」
マ「えーん。リオにもおすそ分けしてあげようと思ったのに~」
リ「気持ちだけ頂いとくわ。アリガト。
そんじゃアタシもクエストとか慣れておきたいから、1回それやっとこかな。《やくそう》貰っといて損ないしね」
そして二人は、路地裏の母娘のところへと赴いた。
クエストを受注し、ハーブ園への往復を最短ルートでさっさとこなす。
クエストが無事完了したそのときである。
テッテレー♪マナのコマンドに何か反応があった。
『マナはスキル《かばう》を習得した!
仲間が受ける単体攻撃のダメージを引き受けます。
習得条件は、1日に20回以上のクエストを完了させること』
マ「わぁー、ナニコレー!?」
リ「おぉー、アンタに最も向いているような、最も向いていないようなスキルね!」
マ「リオがピンチのときに《かばう》したら、リオを守れるってこと?」
リ「そう。その代わりアンタがダメージを喰らう。
マ「わたししゅび力ガチガチだから、二人ともダメ―ジ受けないってことでしょ!?」
リ「そう。とりあえず《いっかくうさぎ》か《おおありくい》程度まではね。
でも呪文のダメージは受けるハズだから、アタシが《メラ》喰らいそうなときにかばったらダメよ?」
マ「《ヒャド》も??」
リ「とーぜん。
…それにしても、コレ意外とレアスキルなんじゃないの?
1日に20回以上もクエストやるなんて、先に進んだらムリになるからね。
進めば進むほどやることも増えるし、クエストの難易度も上がるから、20回も出来なくなるわ。
ぐだぐだと始まりの町をほっつき歩いてるノロマだからこそ、出来たことね」
マ「えぇー、優しい人って言ってよぉ~」
『僧侶だけで魔王を倒すには?』