第61章 せかいじゅ
大樹のシルエットが近付いてきたその時、人が雪に埋もれているのを見つけた。
リ「遭難者だわ!」二人は駆け寄る。
なんと女性の戦士だった。精鋭団の一人であったと思われる。
女「私はもうだめだ。このまま尽き果てる。
そのまま進み、あいつを打ち倒してくれ!」
リ「あいつ?あいつって?」
女「大樹の下に魔物がいる。
精鋭団は皆、そいつにやられた。
お、恐ろしく強い!」
リ「そのようね…」
女「1ターン目に『冷たく輝く息』を、2ターン目に《イオナズン》を、3ターン目に《キングダムソード》を放ってくる。つまり奴はあらゆる攻撃を駆使する!油断すると3ターンでもう壊滅だ…!」
リ「ありがとう!覚えておくわ!」
マ「どうか死なないで!帰りにも寄りますからね!」
二人は震えながらもなお進んだ。もう後戻りなど出来はしない。
そしてついに、大きな樹の根本まで辿りつくのだった。
数十メートルもある大きな樹だった。しかしよくよく見ると、たしかにそれは樹ではなかった。作り物だ。遠くから見れば樹と見まがうが、寄ればわかるものだった。
そして樹の根本には小さな祠がある。
二人はゆっくり近づいていく。
中には大きな玉座があり、図体の大きな、《アークデーモン》によく似た魔物が、ふてぶてしく片肘をついて待ち構えているのだった。
『僧侶だけで魔王を倒すには?』