第63章 帰還
二人は祠に戻ると、シスターにベリアル討伐を報告した。
シ「なんと、あの怪物を倒す事が出来たのですか! 人は見かけによらない、とはこのことですね!」
マ「えへへへぇ」マナは得意顔だ。
リ「こんなトゲトゲの鎧着て大魔法使いなんて、誰も信じないですよね!」
マ「うるさぁーい!!」
シ「うふふふ」
ちなみに、雪山の中で瀕死になっていた女戦士は、帰りにはもうそこに姿が無かった。誰かが連れ帰ったのか、死んだのかはわからなかった。
シスターの祠にある《旅の扉》から、さらにスタンシアラ城へと舞い戻る。
世界樹の秘薬とやらは手に入らなかったが、おぞましい怪物をやっつけたことは賞賛の的となるだろう、と浮かれたのも束の間…、なんとスタンシアラ城には緊迫が走っていた!
王が失踪したというのだ。
救うために尽力してきたはずの、愛する妃さえも置き去りにして。
二人はひとまず、宿屋で体力の回復をはかった。王の間に行く必要はないだろう、と思っていた。しかし、翌朝宿屋の主人に呼び止められる。
宿「世界樹の秘薬を探索しに行った者は、成果にかかわらず褒美を出すとのお触れですよ。
王の間で大臣がお待ちですので、行かれたほうがよろしいかと」
マ「プリンセスドレスみたいの貰えるんじゃないの♪」マナは浮かれた。
それなりの報酬があるだろう、とリオも思った。
しかし、王の間に赴くと、そこには戦慄が走った。
「おぬしらが来るのを待っておったぞ!」と大臣は興奮気味に言う。
リ「えぇ、どうしました?」
大「王の失踪の件は知っておろう?
それについておぬしら、どう考えておる?何か事情を知っているか?」
リ「は、はぁ。
王様は魔物か悪者だったのではないかと考えています。
精鋭を集めたのは、お妃の病気を治すためではなく、雪の大地でまとめて抹殺してしまうため…。
あたしたちのせいでそれが上手くいかなかったため、逃げたのではないか、と」
大「そうか…
………。
………。
そうかそうか!
真相を知ってしまったのだな!」
大臣の声色が変わっていく!
マ・リ「なに…!?」
大「ではおぬしらを生かしてはおけない。
この国の民も生かしてはおけない。
みんなまとめて葬り去ってやるわ!」
大臣の姿が、変形しながらみるみる大きくなっていく!
大きく大きく、すさまじく大きくなって城をも破壊していく!

なんと、大臣の正体は《ブオーン》だった!
リ「世界樹並みに…でかい化け物…!!」
住民たちは恐れをなして逃げ出していく!
『僧侶だけで魔王を倒すには?』